
1ヵ月以上も前に観劇したもので、日本公演もすべて終了し4月のロンドン バービカンシアターの公演間近という「コリオレイナス」 今さらではありますが、自身の備忘録という意味でお許しいただきたい。
コリオレイナス 2月17日(土) 6:30pm シアター・ドラマシティシェイクスピア最後の悲劇と言われる「コリオレイナス」−高潔な気性、並はずれた勇気、無私の献身も、階級的差別と母親への偏愛により帳消しにされる。強烈な個性の悲劇でもあり、同時に、国家体制を問う政治劇でもある。−
コリオレイナス(唐沢寿明)は共和制に移行したばかりの紀元前5世紀の古代ローマの伝説的英雄で、本名はケイアス・マーシアス。数々の武勲で執政官に推挙されますが、護民官(瑳川哲朗、手塚秀彰)にあおられた民衆への嫌悪をむき出しにした結果、市民たちの怒りと反発を買い追放されてしまいます。敵将オーフィディアス(勝村政信)のもとに身を寄せたコリオレイナスは恨みに燃えて祖国ローマに攻め込みます。親友メニーニアス(吉田鋼太郎)の説得にも耳を貸しませんでしたが、ローマが送った最後の切り札・母ヴォラムニア(白石加代子)の懇願で翻意します。 これを知ったオーフィデイアスは・・・。幕があがると一面の鏡に客席の自分達の姿が映り「わぁ」という歓声もあがりました。この戯曲を読んだことがなくストーリーも事前に知らなかったのですが、物語が進むにつれて、この鏡は「舞台上の出来事は、古代ローマのものであると同時に“現在の”あなた方のもの、鏡に映ったあなた達は主体性なく扇動に乗せられやすい衆愚そのもの」という蜷川さんのメッセージなのかと思い至りました。
装置、衣装、美術、集団の役者さんの動きに至るまで、隙なく計算しつくされた美しいステージは、はじめにロンドン公演ありきのためか、剣を刀に持ち替えたのを始めとてもジャパネスク。最後には般若心経まで登場しますが、これがバービカンでどのように受け取られるか興味あるところです。
「マッチョじゃない僕は、坊主頭に刀傷のような剃り込みを入れるなど強面な見た目を作り込んでいます」と語っている唐沢寿明は、少し声が苦しそうでしたが、正義感が強く、勇敢なのに頑なで傲慢というコリオレイナスの孤高を見事に表現していました。何も間違ったことはしていないのに、寛容とか、民衆への迎合とかいう気持ちを持てないために降りかかる悲劇。ローマを追われる時に放つ
「世界はここだけではない」の言葉が耳に心に響きます。終始笑うことのない固い表情のコリオレイナス。民衆と自分の立場に苛立って「あ”〜っ、あ”〜っ」と癇癪を起こすコリオレイナス。マクベスも三世次もよかったけれど、唐沢さんはこの役が一番ハマッていたのではないかしら。
白石加代子の母ヴォラムニアは、迫力の演技。この人以外考えられないと思わせるキャストです。息子を愛し息子を信じ、戦いに勝つことが何よりも大切だったヴォラムニア−間違いなくコリオレイナスの悲劇の一端を担う母でした。
コリオレイナスに対する複雑で屈折した思いを自在な演技で描き出していて印象的だった勝村政信のオーフィディアス。死んだコリオレイナスを抱きしめて、泣きながら見せる微笑が、最後までざらりと心に残りました。

殺陣の時の「シャキーン」「カキーン」という効果音。あれ?蜷川さんのお芝居でもいつもこんな音使ってたかなぁ、と少し違和感を覚えたのですが。ちょうど「朧」にどっぷりつかっていた頃だったので、どうしても新感線のイメージが先行してしまって。
HEY!HEY!HEY! に宇多田ヒカルのゆかりゲストとして登場した唐沢さん。ゲーム好きで、以前ドラマで共演したゲーム(ストリートファイター?)の小学生チャンピオンという子役を「思いきりブチのめしてやったら泣いて収録が3時間も遅れた」と自慢気に話していました。「波動拳と昇竜拳 ぶち込んでやりましたよ」「子供の内から自分より上がいる事を教えなければいけなんですよ」って、ちょっとコリオレイナスのイメージとかぶって、笑えました。
小峰リリーさんのステキな衣装も「朧」にかすんだ目には似た感じに映って、ごめんなさいの地獄度

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