「猿之助さんのいないスーパー歌舞伎なんて・・・」と、スーパー歌舞伎からかなり遠ざかっていたため、『ヤマトタケル』を観るのは、初演(多分1986年の南座)以来でした。右近さんタケルと段治郎さんタケルの2回(で済めばよいが)観るから、まずは全体を見渡せる席で、そうそう、いつも見上げてばかりの宙乗りも、天翔けるタケルを正面からお迎えしようじゃないの、と3階席をチョイス。恥ずかしながら不肖私スキップ、松竹座3階席初見参でございます。
スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』
5月5日(月) 11:00am 大阪松竹座 3階1列センター
作: 梅原猛 監修: 奈河彰輔
脚本・演出: 市川猿之助
出演: 市川段治郎 市川右近 市川笑也 市川笑三郎 市川寿猿 市川猿紫 市川春猿
市川猿弥 市川門之助 金田龍之介 ほか
初めてスーパー歌舞伎を観た頃は、自分の中で他に比べるものを持たず、ただただ感嘆したものでした。それから歳月を経て、今改めてわかる猿之助さんの偉大さ、舞台にかける情熱、その演出のすべてがどれほどすばらしいものか・・・これまで観たどんな舞台とも似て非なるものです。そして、「スーパー歌舞伎に猿之助さんがいない」のではなく、「舞台に出ていない」だけだということも。猿之助さん入魂の演出に若い役者さん一人ひとりが熱演で応え最高の舞台をつくり上げて、猿之助さんはまぎれもなく、スーパー歌舞伎の中で息づいていました。
蒼みを帯びた大きな地球と無数の星がきらめく宇宙−その地球にアンモナイトが重なり、さらに古代文字へと移り、やがて暗闇の中に現れる聖宮。背を向けてすでに静座した家臣たちを載せた盆がゆっくり回り始めると同時に中央から帝・皇后を載せた大ゼリがせり上がって来るオープニングで、背中にビビビっと電流が走るような感覚を覚えました。
シンメトリーに寸分違わず配置された登場人物や舞台装置、豪華絢爛な衣装の帝・皇后の前に登場する純白の小碓命といった色彩の美しさ・・・スーパー歌舞伎といえば、屋台崩しや早替り、宙乗りといった派手な仕掛けが注目されがちですが、静止の場面の、見せることに徹底的にこだわって計算されつくした美しさは筆舌に尽くしがたいものです。伊勢大宮の場面の、白の中に鮮やかな真紅が映える凛とした静謐なまでの雰囲気も印象に残ります。
二幕の焼津の火の場面。
赤い布で火を表わし、さらに2つの異なった炎の見せ方、描き方、まるで火の玉のようなトンボ、その火の中で繰り広げられるタケルやタケヒコ、蝦夷の人たちの雄々しくも美しい殺陣−つくり上げられた場面のあまりのすばらしさに胸が熱くなって思わず涙がこぼれました。ストーリー的には泣くシーンではないのに。
この火にしても、走水の船のシーンにしても、本物の火や水を使わなくてもこんなにも効果的で美しくそれを表現することができることにまた感動。
流れるような場面転換の巧みさも目をひきます。
特に感じ入ったのは三幕で、尾張の国造の家でみやず姫との華やかな婚礼の祝いの背景に、鬼達の姿がシルエットで浮かび上がり、伊吹山になる場面。今は幸せの最中にいるタケルの凶兆−この先に待つ悲劇を暗示していて。
“平和に心豊かに大地とともに暮らしていた土着の民族(縄文人?)を、米と鉄を持った弥生人が征服することによって日本(大和)という国をつくり上げた”というのが梅原猛先生の歴史的解釈のようですが、熊襲や蝦夷、伊吹山の山神までもが単なる蛮族ではなく、誇り高く魅力的な種族として描かれているところもこの物語に深みを加えています。
「強い男ほど強い風を受けるもの」「“傲慢”という、人間の最も思い病」など、示唆に富んだセリフもたくさん。
市川段治郎のタケルは、気品があって立姿も動きも美しい。熊襲の館へ行く時の女装もホレボレするくらいキレイ。おぼっちゃまで素直で、いつまでも父帝を信じてその愛を求めている人の良さ、言い寄ってくる女性はみんな受け容れてしまったり(でも浮気という訳でもない)、草薙の剣をみやず姫のところへ置いて行っちゃうようなワキの甘さも漂わせ、また、憂いを帯びた表情がタケルの悲しい運命を予感させます。大碓命と小碓命との早替りではきっちり声色まで演じ分けていて、最後の宙乗りは長身を活かした羽ばたきがとても美しかったです。
最後まで願っていた父帝の許しを得ることはできなかったタケルが、フィナーレではその帝の前に跪き、互いに見つめ合い手を取り合う姿にまた涙。
フィナーレにはもうひとつとみさんに教えていただいた涙のツボが。
タケルが余命いくばくもない時に、「樫の葉を簪にさすと長生きできると言われていたのに、兄上と私はささなかった。」と悔いる場面があるのですが、フィナーレの兄橘姫、タケヒコ、ヘタルベたちは樫の葉を髪にさして登場・・・タケルへの想いを込めた姿にまたおろろ〜ん
そんなこんなでもうウルウル全開!っていう時に猿之助さん登場ですから・・・
とても長くなってしまいました。
すばらしかった女方さんたちや他の役者さんたちについては、次回右近天翔ける之記にて(?)
大和は国のまほろばのごくらく度









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「ヤマトタケル」、本当に素晴らしい舞台でした。
実はスーパー歌舞伎そのものが初めてだったのですが、
つくりこまれた色鮮やかな世界に、圧倒されると共にとても心惹かれました。
焼津の火の場面、私も大好きです!
そして、フィナーレの帝とタケルに涙してしまいました・・・
右近タケルを観ることができなかったので、
スキップさんのレポ第2段を楽しみにしておりますねv
こんばんは。
ほんとにすばらしい舞台で、今思い出しても
体が震えそうになったり、ウルッときたり。
「スーパー歌舞伎」と「歌舞伎」は別物と思っていたのですが、
伝統的な歌舞伎の正統をきっちり踏まえた上でつくり上げられた
舞台であることが今回とてもよくわかりました。
焼津の火の場面、走水の弟橘姫の入水シーン、美しかったですね。
右近タケルを観るのはずっと先なのですが、それまでガマンできるか
ちょっと不安です・・・ってか、自信ない(笑)。
>猿之助さんはまぎれもなく、スーパー歌舞伎の中で息づいていました。
本当ですね!!
3年前にダブルキャストでお目見えした時、
猿之助がいないから、濃さが緩和されて、
わたし的には観易くなるかも…(ごめん)
そう期待した反面、
あのダイナマイトドン!ドン!が無くなったら
『スーパー歌舞伎』じゃなくなって、
ドッちらけになっちゃうかも…
って、ちょっと恐い気もしてたんです。
でも、若いパワーは純粋で一途で、
全然、澤瀉屋ファンじゃない。
そんな私のハートをムンズと鷲掴みっっ。
骨太の脚本と演出で、物語の奥深さは全く揺らぎませんでした。
初日観ました!
大阪のお客さんは、熱いハートで舞台を凝視してました。
客席と舞台に、ものゴッツイ、エエ空気が流れてました。
右近タケルレポ楽しみです♪
オ!認証コード「タケル」になってる。グハハ。
「ヤマトタケル」の連理引きに引っ掛かったな!
そうなの、まさしく連理引き。
でもね、かさねに引き戻される与右衛門のように、
コワイけれどちょっぴり幸せなのかも(笑)。
猿之助さんが舞台に出られなくなってすぐの時にも
観たことがあるのですが、私としてはすごく物足りなさ
を感じました。でも今回それは全くなかったです。
それどころか、ほんとにすばらしくて、役者さん達が
精進して成長したのはもちろん、猿之助さんが目指して
きたものが若い役者さん達の力で花開いたという気が
して、ほんとうに胸が熱くなって泣きました(涙)。
初日は猿之助さんお着物で登場だったとか。
私が観た日はジャケット姿でしたが、お互いに初日と2日目
に観て、思いがけず猿之助さんにもお目にかかれて、
幸せでしたよね〜。
>市川段治郎のタケル・・・・・・大碓命と小碓命との早替りではきっちり声色まで演じ分け.......ビジュアルがいいのは勿論、こういうところまできちんとやってくれて、本当に主役を張る力をつけてくれて、歌舞伎座の「楼門五三桐」のなめくじナントカの役からチェック入れて応援していた私としてはこの成長ぶりが嬉しくてたまりません。
猿之助丈がいなくてもしっかりスーパー歌舞伎をやれるようになってきた澤潟屋一門にも頼もしさを感じています。次はやはり梅原先生の「オグリ」あたりが観たいけれど、どうでしょうかね!そうだ、右近タケルがまだだから、もう一回「ヤマトタケル」東京凱旋公演でもいいかな(^O^)/
そうそう、私もやっぱり「takeru」で笑えましたよ!!
BWに行って改めて思いましたよ。「ヤマトタケル」は日本の演劇界が誇る宝、間違いなく世界に通用すると!
カーテンコールの樫の葉は良いですよね。タケルの臨終の場面に立ち会った、4人の部下も付けていますよね。
皆様の感想を拝見すると、いますぐ大阪へ行きたくなります…。
takeruで笑っていただいてありがとうございます(笑)
>歌舞伎座の「楼門五三桐」のなめくじナントカの役
そんな役をやっていらしたのですか(笑)。
それは、見守る側もうれしいことですが、ご本人もさぞかし
今のご自分を「ほめてやりたい」と思ってらっしゃることでしょう。
もちろん、右近さんや他の澤潟屋一門と切磋琢磨してともに
頑張ってらっしゃることも大きく、ほんとにいいカンパニーですね。
次回作も楽しみです。『オグリ』も観たことないのですが、
今は遠ざかっていた分を早く埋めたいので、スーパー歌舞伎なら
何でも観たい気分です(爆)。
えへへ。 認証コードはしばらくtakeru にしておこうと思っています(^^ゞ
ほんとに、この『ヤマトタケル』を世界の人に観ていただきたいですね。
ブロードウェイとまではいかなくても、『夏祭浪花鑑』のように、NYや
ヨーロッパで公演してもきっと成功すると思います。
そうそう、あの部下の人たちも樫の葉をさしていました。
フィナーレにまでドラマ性を持たせる、猿之助さんの心憎いまでの演出ですよね。
花梨さんはこの後の名古屋にいらっしゃるのでしたね。
私も大阪は日程的にあと1回位しか難しいので、名古屋考えてみようかな(笑)。