「満足だわ。」「もう一度言います。満足だわ、とても満足。」物語のラスト、わが子の死を眼前につきつけられ、悲嘆にくれる夫に向かって勝ち誇ったように言い放つメディア−神さえ畏れぬかのような自負と圧倒的な存在感。
「王女メディア」
5月11日(日) 2:00pm 兵庫県立芸術文化センター中ホール
1階A列センター
原作: エウリピデス 上演台本: 笹部博司
演出: 栗田芳宏 衣裳: 朝倉摂
出演: 松井誠 山崎銀之丞 菅生隆之 赤坂泰彦
クレオン(夫の婚約者の父である領主)に国外追放すると言い渡され、せめて1日猶予をほしいと懇願してそれが認められた時、クレオンがまだ「許す」と口にしていないうちから静かにそして冷酷な微笑をうかべていたメディア。
そのクレオンと娘(自分の夫が結婚するはずだった女)が自分が差し向けた毒薬によって死んだという恐ろしい末を聞きながら、髪をおろし恍惚とした表情で美しく舞うメディア。
そして、冒頭に書いた、嘆き苦しむ夫の目の前で、「満足だわ、とても満足」と勝ち誇って言い放つメディア。
誰も敵う者などいません。メディア、一人勝ちです。
メディアは、自分の愛を貫くために父を捨て国を捨て、弟を殺してまでイアソンと出奔します。そして、そのイアソンが自分を裏切って別の女性と結婚すると知るや、凄まじいまでの憎悪でその婚約者と父親を毒殺し、愛するわが子まで手にかけて夫に復讐するような女で、“ギリシャ悲劇が生んだ史上最高の悪女”とされていますが、そうかな。
もちろんメディアのとった行動は戦慄が走るほど恐ろしいものですが、その原因は夫であるイアソンにあるし、イアソンにメディアという妻がいることを知った上で自分の娘と結婚させようとしたクレオンにあるのではないか、もちろんそこに至るまでにもメディアの激しい性格が災いしたことは多々あるようですが、夫の裏切りがなかったら、メディアをあんな行動に駆り立てるようなことにはならなかったのではないか−そう考えるとあの勝ち誇ったようなメディアの顔も、とても哀しいものに見えてきます。
松井誠の舞台は初見。
誠サマ親衛隊と思しき女性の熱い視線を受けて熱演でした。
元より美しいし、迫力十分。メディアの、ちょっと凡人を寄せつけない雰囲気とか、誇りも気位も高い感じがよく出ていました。ただ、他の共演者とお芝居のトーンが違うような印象は受けました。一人芝居のような雰囲気・・・いっそ一人芝居の方がよかったかもしれません。
ひとつ気になったのは、セリフが時折関西なまりのようなイントネーションに聞こえたこと。
「あれ?松井誠って関西出身だったかな?」と思いましたが、九州のご出身とのこと。あれは何だったのかしら。
栗田芳宏の演出は、余分な装飾を極限まで削ぎ落としたものでした。
すでにメディアとイアソンの結婚生活が破綻したところから始まりますが、それまでの経緯やその後に起こる事件を案内役(赤坂泰彦)に語らせるという手法で、これが案外受け入れやすく、初見でしたが物語を理解しやすくさせてくれました。
舞台装置もとてもシンプルで、舞台中央奥に吊られた1枚の布で部屋の出入りや時の移ろいを表わしていました。終盤、この布をライトで赤く染めて徐々に吊り上げていくことによって、メディアが乗って天空に去ったという竜車をイメージさせたのには「さすがぁ〜」と感嘆しました。
「命令や指示はするものであって、されるものではない」なんて育ち方、してみたかったなぁ、のごくらく地獄度









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見てたのは背中だけじゃなかったんや〜〜♪
そういえば思い出しました!そうでした!そうでした・・・という箇所多々あり・・。
ワタクシ、何を観ていたんでしょうか?(笑)
ただ、弟までもを殺してしまった贖罪・・・として、夫の浮気があったのでは・・・?と、ヘンに想像してしまったので、それに対してまた報復する訳〜〜!?
怖いなあ・・・と考えておりました。私・・・。
>夫の裏切りがなかったら、メディアをあんな行動に駆り立てるようなことにはならなかったのではないか−そう考えるとあの勝ち誇ったようなメディアの顔も、とても哀しいものに見えてきます。
確かにそうですよね〜。何故か哀れ・・・は、そこかもしれません。
しかし、このお話だんだん好きになってきます。徹底してるとこが・・・。怖さに染まりつつあるのかしら(笑)
そうだ、背中!
誠さんのとても美しかった背中のことを書くのを忘れていました(笑)。
弟を殺す→贖罪→夫の心変わり→報復→・・・
因果応報の連鎖ですかしらね。いや、オソロシイ。
私はね、最後に書いたけど、やっぱりメディアがちょっとうらやましいんです。
あんなにキッパリ徹底して思ったことを行動に移せる強さを持っているのですから。
そういえば、『朧』の時も、ライの、「オレをハメようなんざ100年早ぇんだよ」
っていうセリフが大好きだったのですが、普段虐げられたM生活を送っているので、
Sに憧れちゃうのかしら(笑)。
やっぱ命令は、されるのではなく、するもんでしょ(爆)。
背中か…胸ばっかり見てたよ。ぺちゃんこなのに女に見えるなぁって。
イントネーションは九州っぽい所があったでしょ。私にはそう聞えましたが…
あれは誠節なんです。気にしないで下さい(甘いなぁ)
スタンダードじゃない劇空間にノックアウトされました。
あまりにも短い上演時間だったし。ここまでカットできるのか!ギリシャ悲劇〜。
まこっちゃんの原点は大衆演劇。いつもは芝居とショーの2本立て。
”生きた博多人形”をライヴで是非体験して下さい。
王女メディアより断然キレイです(苦笑)
胸か・・・ぺちゃんこでしたか?背中ばかり見てて気づきませんでした(笑)。
母が福岡出身なので博多弁のイントネーションには慣れているつもり
なのですが、関西なまりふうに聞こえたのは気のせいだったかしら。
今度ぜひ新歌舞伎座あたりで(もうすぐなくなるけど)、2本立ての
誠っちゃんショーを体験したいです。
そうそう、物語にしても舞台装置にしても削ぎ落とし方が大胆でしたね。
それが濃密さと緊張感を生み出していて、すごい演出でした。