2008年08月06日

夢は短い狂気

dogen.jpg「道元の冒険」
8月3日(日) 3:00pm シアターBARAVA! 1階J列上手

作: 井上ひさし
演出: 蜷川幸雄
音楽: 伊藤ヨタロウ
出演: 阿部寛 栗山千明 北村有起哉 横山めぐみ 高橋洋 大石継太 片岡サチ 池谷のぶえ 神保共子 木場勝己 ほか


時は寛元元年(1243年)。日本曹洞宗の開祖 道元が開いた宝林寺で、開山7周年のお祝いに弟子たちが演じる『道元禅師半生記』がメインストーリー。
ここに、急に眠り込んでしまう道元がいつも見る夢の中に登場する、婦女暴行容疑で勾留中の新興宗教の教祖がからみ、 夢と現実、時空を超えた物語が展開します。

音楽劇仕立てということや、場面や歌のタイトルをテロップで表示するところなど、同じく井上ひさし×蜷川幸雄コンビだった「藪原検校」と少しカブる感じですが、言葉遊びの氾濫と10人の俳優が47の役を演じ分ける早替わりでとてもテンポのよいお芝居でした。劇中劇の道元役も、栗山千明 → 北村有起哉 → 高橋洋が順に演じます。

弟子たちの口(クチ)ファンファーレに迎えられてスポットあびて登場する阿部寛道元は舞台映えするビジュアルに鋭い眼光で存在感たっぷり。ほとんど舞台袖に座禅を組んで座りっぱなしの演技は大変だろうなぁ、とか、もったいない使われ方だなぁ、とか、狂気が垣間見える現代の教祖の方が本役のようだなぁ、とか。ひとつ注文をつけるとすれば、他の仕事のからみとか色々あるとは思いますが、タイトルロールで主役を張るからには、鬘ではなく自分の頭を丸めるくらいの気概は見せていただきたいところ。

役者陣の中で一番印象的だったのは木場勝己。
永平寺第二祖・懐奘をはじめ、良観、豪雲、公円、栄西、如浄、親鸞、精神鑑定医Aとたくさんの役を演じ分けていますが、中国でやっと師と敬う人に出会えた道元(北村有起哉)に、如浄が穏やかな語り口で「他人とは月を指す指」などと説く場面は、高僧の品格と存在感にあふれていました。また、懐奘として「正法眼蔵」執筆中の道元に出会い、心酔していく場面は、道元役の高橋洋の熱演もあってとても感動的なシーンでした。この場面、舞台下手袖で座禅を組む阿部寛を見ると、涙を流していました。

鷹司兼平で白塗りのお公家さんをユーモアたっぷりに演じた高橋洋、その高橋洋と「表意文字ソング」で絶妙のコンビネーションを見せた北村有起哉、「宋に行きたかったなぁ」というつぶやきが耳に残る源実朝の大石継太、キリッとかわいい栗山千明に美しく色っぽい横山めぐみ・・・役者さん達はチームワークよくとても楽しませてくれました。道元の置かれた状況や、比叡山や幕府、朝廷からの圧力、親鸞、日蓮との「天台大学同窓生」の関係も理解できて勉強にもなります。

しかしながら、役者さんが役を兼ねていることを笑いのタネにするとか、まわりの者が一斉に道元の頭をたたく、なんていうギャグ仕立ては個人的には好みではありません。
ラスト「夢は短い狂気、狂気は長い夢」と一気に持っていくところも、何だか取ってつけたような印象を受けました。

位置情報 道元の頭をたたきに他の弟子が下手から一斉に走り出て来た時、先頭の高橋洋さんが転びました。そういう演出かな、と思ったのですが、その場で座禅を組む阿部ちゃんが笑いをこらえ切れなかった様子だったのでアクシデントだったみたいです。

位置情報 4度目のカーテンコール。役者さんたちはもうないと思ってたのか、法衣を脱いで前の場面(精神科の病院?)のジャージ姿の人たちもチラホラ。


ホンモノの生きたニワトリ持って唄い踊るって女優さんも大変だなぁの地獄度 ふらふら (total 364 わーい(嬉しい顔) vs 364 ふらふら)
ニックネーム スキップ at 23:51| Comment(8) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル
この記事へのコメント
えっ!
あのニワトリって本物の生きたニワトリだったんですか!?
てっきり作り物だと思ってました。

っで、この作品。
個人的には、合いませんでした。
有起哉さんや洋くんは頑張ってたと思うんですがね・・・。
どうにも「ドタバタ感」に笑いを見出せず、
逆に冷めた目で見てしまいました。
Posted by 麗 at 2008年08月07日 01:09
こんにちは。
私も同じ回観てました。
前日の夜更かしがたたって何度かうとうとしちゃいましたが(ヲイッ)コミカルな洋さんやシリアルな有起哉さん観れて楽しかったです。

ニワトリびっくりしましたね!持つコツがあるのかしら?!とかしょーもないことばっかり気になっちゃった(笑)
Posted by えも at 2008年08月07日 14:22
♪麗さま

ホンモノでしたよ〜。
大阪の初日の舞台では大暴れしていました(笑)。

私もあのドタバタは全然おもしろいと思いませんでしたが
セリフや歌詞はもう一度噛み締めてみたい気分です。
これって、戯曲読めよってことですかね?(爆)。
Posted by スキップ at 2008年08月07日 22:27
♪えもさま

いや〜ん、同じ日だったのですね。
実はワタシも一瞬記憶がとびました(汗)。

あのニワトリの暴れっぷりにも終始笑顔で唄う女優さんたち、
さすがあっぱれでしたね。
洋さんは「間違いの喜劇」でもコメディセンス抜群でしたが
今回の白塗りは結構ツボでした(笑)。
Posted by スキップ at 2008年08月07日 22:35
スキップさん、こんばんは!
洋さん、転んでしまったのですか?!
見たかった!・・・ではなくて(笑)、
洋さんと北村さんのコンビ、個人的にかなりツボでして・・・
「表意文字ソング」、観るたびに手に汗にぎっちゃいましたよ。
いろんな洋さんが観れて、ファンとしてはとっても嬉しい舞台でした。
最後のシーンの意味は、最後まで理解し切れませんでしたが・・・

ニワトリ、大阪でも元気でしたか。
安心しました(笑)。
Posted by 恭穂 at 2008年08月08日 23:00
♪恭穂さま

それはもう見事にバッタリと(笑)。
でもアセッてすぐ起き上がって駆け出していらっしゃいましたが。

「表意文字ソング」の漢字を書いていくところは凄かったですね。
木場さんとの「正法眼蔵オペラ」も洋さんの歌唱はさておき(笑)、
とても感動的でした。
洋さんの演技の幅の広さ深さをまた見せていただいた思いでした。
Posted by スキップ at 2008年08月09日 00:55
これは、私好みのお芝居でございました!
今年のナンバー5には入るかなあ♪
好みって分かれますねえ!だから楽しいのですけどね〜!こういうなんかややこしい話を面白くしてる
話って好きなんだ〜♪って自分再発見でした♪
しかし、やっぱり洋君はいい♪
今日もまだ心に残っています!
Posted by かずりん at 2008年08月10日 15:26
♪かずりんさま

ナンバー5! すごい高評価ですね。
私も作品としてはキライではありませんが、すべてを「狂気」に
持って行くっていうのは何だかなぁ。たくさんのTVモニターが
降りて来るっていう演出も過去の蜷川作品にありましたし。
洋くんも有起哉さんも、役者さんは皆ステキでしたね。
Posted by スキップ at 2008年08月10日 23:32
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