2008年09月14日

竜馬、ハニムーンぜよ

IMG_4076.jpg寺田屋で幕吏に襲撃され屋根の上に逃げ延びて深手のため気を失った竜馬。その竜馬を見つけて抱き起こすおりょう。
「軍艦に乗せちゃるきに」と言う竜馬に、おりょうが珍しく「はい」と素直に応えて、続けた言葉がこれ 「竜馬、ハニムーンぜよ」
竜馬は血まみれだけど、まるで二人の幸せな未来が見えるような、明るい幕切れ。

秀山祭九月大歌舞伎 昼の部 「竜馬がゆく」 風雲篇

原作: 司馬遼太郎
脚本・演出: 齋藤雅文    
出演: 市川染五郎  市川亀治郎  上村吉弥  尾上松緑  中村錦之助 ほか

9月13日(土) 11:00am 歌舞伎座 1階5列下手


幕末の不滅のヒーロー 坂本竜馬を描いた「竜馬がゆく」。
昨年の「立志篇」に続いて、今回の「風雲篇」では、1864年の池田屋事件に始まり、勝海舟のもと、神戸海軍操練所 海運塾の塾頭を務める竜馬(市川染五郎)と旧友・中岡慎太郎(尾上松緑)との再会、後に妻となるおりょう(市川亀治郎)との出会い、西郷吉之助(中村錦之助)を説得して薩長連合を取り纏め、1866年 伏見寺田屋での幕吏による竜馬襲撃事件までを描いています。
時代を駆け抜けた竜馬の疾走感をそのまま表わすスピーディな展開の舞台で、もっと観たい、と感じるような1時間12分でした。

中岡慎太郎の、勤王の志を持つ長州藩とともに立とう!という熱い説得に、まわりの海運塾生が同調するのは無理からぬこと。ただ一人、「今はその時じゃない」と反対する竜馬。
耳をかさず行こうとする中岡たちに、「わしより先に死んだらいかんぜよ」と叫ぶ竜馬。
「戦うべき相手は長州藩ではないはず」「長州を助けてやってほしい」と西郷に懇願する竜馬。
自分は勝先生を斬りに行ってその場で弟子になったような男だからわかる、「誤りは誤りとわかったときに糺すべきだ」と言う竜馬。

この舞台を観ていると、坂本竜馬がいかに魅力的でスケールの大きな人物かよくわかり、ますます好きになるし興味がわいてきます。勝海舟の薫陶があったとはいえ、土佐の一介の下級武士(家は裕福だったらしいですが)に生まれた竜馬がこんなふうに大局的に物を見、先見の明を持つことができたのはどうしてでしょう。
今さらながら思い出す勝海舟の言葉・・・「薩長連合、大政奉還、あれァ、ぜんぶ竜馬一人がやったことさ」・・・司馬遼太郎の「竜馬がゆく」はずい分昔に全巻読んだはずですが、また読み返してみたくなりました。

その竜馬を演じる市川染五郎。
天衣無縫で誰からも慕われる竜馬のキャラクターに染五郎さん特有の可愛げとか爽やかさ、明るさがうまくハマって本当に活き活きとした魅力的な竜馬像を造形しています。高知生まれだっけ?というくらい土佐弁もこなれていて。
幕吏が迫る寺田屋の2階で、今言っておかないと、とおりょうにプロポーズする場面は、「妻になってくれ」「一生そばにいてくれ」「ハニムーンにいこう」と、ストレートな表現と男らしい言いっぷりに感激して涙出そうになっちゃいました。姿・所作の美しさも際立っていて、幕吏相手の立ち回りもさることながら、刀を構える薩摩藩の面々を向こうにまわして、懐からスッと短銃を取り出す場面なんて、カッコよすぎです。

市川亀治郎のおりょうがまたとてもいい。
勝気で聡明、「戦は武士のものであって、庶民にとっては天災と同じ」「(長州だ薩摩だと)戦の相手が違う」と自分の考えをはっきり述べるおりょう。竜馬のことを「竜馬」と呼び捨てにするおりょうですが、「竜馬」「おりょう」という名前の符号ばかりでなく、二人が惹かれあうのは当然と思える納得の役づくりでした。亀治郎さん、少しほっそりされたようで、とてもかわいいおりょう。寺田屋で竜馬に危険を知らせるためにお風呂から飛び出してきた場面の両肩を出した浴衣姿の色っぽさにもドッキリ目

竜馬のボディガード役の長州藩士 三吉慎蔵。演じる役者さんは(失礼ながら)見覚えがないけれど、オットコ前だしきびきびしてるし、と思って筋書見てみたら、片岡松次郎。仁左衛門さんご一門ということですが、名題下の役者さんかな?要注目です。

一場面の出ながら艶やかな上村吉弥の寺田屋お登勢。肝の座った女将さんぶりが印象に残ります。意外なキャスティングだと思った中村錦之助の西郷吉之助。形は些か作り込み過ぎかな、とも感じましたが、あの端正なお顔はどこへやら、野太い落ち着いた雰囲気がよく出ていました。役者さんとは、げにおそろし。尾上松緑の中岡慎太郎は、舞台写真で見るような濃いひげ面ではなかったけれど、方向転換入りましたかしら?

続きが観たい竜馬ですが、続編ができるとすれば、次は多分竜馬が暗殺されるまで。それはそれで観たいような観たくないような。


「天いまだ我を見捨て給わず」のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 381 わーい(嬉しい顔) vs 379 ふらふら)
ニックネーム スキップ at 23:05| Comment(12) | TrackBack(1) | 歌舞伎・伝統芸能
この記事へのコメント
いよいよ今週末に観に行きま〜す♪
と〜〜っても楽しみです!
もっちろん♪その楽しみのうちに松次郎さん入ってますよ♪
Posted by 恵美 at 2008年09月16日 10:09
スキップさま♪
亀ちゃんのおりょう、良かったですか!
なかなかイケるんじゃないかなあと密かに楽しみに
していました。
このシリーズは「立志篇」が放送されたので、次も
観られるのではないかなあと期待しています。
この9月は、亀ちゃんがあっちでもこっちでも観られるようで・・
こんなときにお江戸に行かれなくて残念です。
Posted by しろう at 2008年09月16日 22:18
♪恵美さま

松次郎さんって、上方歌舞伎塾第1期生なのですってね。
存じあげなくて失礼いたしました。
三吉慎蔵としての出番は最後の方ですが、ご活躍ですよ。
楽しみになさってくださいね!
いいなぁ〜、今週末。私もできることならもう1回観たいです。
恵美さんのレポ楽しみにしています。
Posted by スキップ at 2008年09月17日 00:26
♪しろうさま

ほんとによかったです、亀治郎さんのおりょう。
竜馬とおりょうの二人があんまりお似合いなので、
ちょっとジェラシー(笑)。
放映あるといいですね。
私はできればDVDボックスとかで発売していただけない
かしら、と願っています。

また追ってレポ書くつもりではいるのですが、夜の部は
演舞場を観に行きました。こちらの亀治郎さんもとても
よかったです。充実の秋ですね。
Posted by スキップ at 2008年09月17日 00:30
こんにちは。お邪魔します。
来週観に行くのがますます楽しみになりました。
今年の風雲篇も収録があったそうなので、放送も楽しみです。
Posted by AYAMASA at 2008年09月17日 10:02
♪AYAMASAさま

こんにちは。
来週ご覧になるのですね!うらやまし〜い。
私もできることならもう1回(・・でも2回でも3回でも)
観たいです。
収録があったのですね。情報ありがとうございます。
オンエア楽しみですね。
Posted by スキップ at 2008年09月17日 23:39
>尾上松緑の中岡慎太郎は、舞台写真で見るような濃いひげ面ではなかった......9/7に見ましたが、すごい髭面メイクで勿体ないと思ったものでした。軌道修正されたんでしょうね。
>本当に活き活きとした魅力的な竜馬像を造形......染ちゃん、竜馬に惚れ込んでいるようで、自分の持ち役にしっかりしてしまいましたね。TVの10時間ドラマ、チラ見しながら録画したビデオ持っているのですが、観る時間がつくれない〜(^^ゞ
立志篇、けっこう大勢の若手が芝居にからむ場面があったのもよかったのですが、今回はそういうところがなかったなぁと思いました。その分、亀ちゃんおりょうとのコンビの見せ場が多かったからいいことにしました(笑)
来年は完結編でしょうか?寂しいけれど、そのうち三部作で演舞場とかで一挙上演企画とか出るんじゃないかしら。「武蔵」よりいいかもって言ったら怒る人いるかも。暴言失礼しました。
TBさせていただきました(^O^)/
Posted by ぴかちゅう at 2008年09月17日 23:51
こんにちは。
自分の所では感想が滞ってますが、「竜馬がゆく」本当におもしろかったです。
染五郎さんと亀治郎さんのカップルが、実に良くて、続きがとても見たくなりました。
私も完結編を新たに加えて、三部作で一挙上演希望です。
Posted by 花梨 at 2008年09月18日 13:33
♪ぴかちゅうさま

トラックバックありがとうございます。
松緑さんは私が観た日は普段の染ちゃんくらい(笑)な
うっすら青いあごひげでした。舞台写真とは別人でしたね。
どちらからか何か言われたのでしょうか。

染ちゃん竜馬には私も惚れ込んでいて(笑)、できれば
再来年の大河ドラマの龍馬役をやってほしいくらいですが
TV東京でやってしまったのでさすがにそれはムリですね。
確かに「立志篇」の方がたくさんの役者さん達の活躍の場
があり、内容的にも“群像劇”という趣でしたね。

>三部作で演舞場とかで一挙上演企画
わぁ〜、そうなったらうれしいな!いわゆる“通し”って
いうやつですね。ぜひお願いしたいです!
Posted by スキップ at 2008年09月19日 01:58
♪花梨さま

ご旅行ご出発前のお忙しい時にコメントありがとうございます。
「竜馬がゆく」ほんとにおもしろかったですね!
三部作、一挙上演、ぴかちゅうさんと花梨さんと3人連名で
松竹に直訴しましょうか(笑)。
Posted by スキップ at 2008年09月19日 02:10
こんばんは〜〜!我が家では今、市川染五郎『竜馬がゆく』週間に入っています!(以前放送のTVの録画)
もうねえ・・・・(涙)
やっぱり行けばよかったと・・・(涙)
本当に本当に後悔です(涙)
やっぱりステキだわ!染竜・・・・(ハート)
来年・・あればいいなあ・・・(望)
三部作直訴連盟に私も名前連ねさせてください〜〜♪
Posted by かずりん at 2008年09月26日 21:12
♪かずりんさま

染ちゃん竜馬はほんとにステキですよね。
TVや映画は録画して観ることができますが、舞台は中継とかある
にしてもやはりナマで観るのが一番ですから、今回は残念でしたね〜。
でもその分、ロンドンをめいっぱい楽しまれたようなのでそれはそれで
よかったじゃない!
この時一緒に観たかずりんさんもご存知のファザコンサリーちゃんは
もう1度観たくて、web松竹の戻りで前から2列目センターなんて席を
ゲットして観に行ったんだって。やっぱ、いいよね〜、東京は。

はい。直訴連盟これで4人。まだまだ募集中です(笑)。
Posted by スキップ at 2008年09月27日 08:40
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