2006年09月26日

名古屋平成中村座

IMG_1341.jpg9月24日 松竹大歌舞伎 「十八代目中村勘三郎襲名披露」 
巡業西コースの最後を飾る「名古屋平成中村座」公演初日を観劇しました。

中村屋の初代が中村の出身で、この地でぜひやりたかったという勘三郎さんの希望に応える形で会場を提供してくださったのは名古屋市中村区にある同朋高校。こちらの体育館を芝居小屋に仕立てての公演です。勘三郎さんも口上で「あの長い花道がどうなるのか・・・」とおっしゃっていた花道は長さ24.5mなのだとか。座席はすべて体育館の床に座布団を敷いた平場でした。

IMG_1346.jpg襲名披露の演目は「義経千本桜」から「木の実」「小金吾討死」「すし屋」
中村勘三郎の“いがみの権太”が観たくてこの公演を楽しみにしていたのですが、期待に違わぬ力の入った演技で“勘三郎版権太”を作り上げていました。
「小悪党だけどどこか憎めない」というキャラクターは勘三郎さんの得意とするところですが、権太は、クライマックスの部分を際立たせるためにも、そんないい人の部分を見せてはいけない役なのではないかとかねて思っていました。このあたり、さすがの役作りです。あのいつもの愛嬌はどこへ、という感じで小金吾から二十両を脅し盗る時の憎たらしさ。母にお金を無心する時の狡猾な目つき。そして一転、父の弥左衛門(坂東弥十郎)に刺され、瀕死の中で本心を語る場面の人間味あふれる泣きっぷり・・・・・・
勘三郎芝居の真骨頂を見た思いです。

一番印象に残ったのは、身替わりに差し出して引っ立てられていく妻子に、まだ本心を明かす前の権太が一瞬、「すまない」というような情愛のこもった視線を投げかけるところ。声を出さない女房小せん(中村芝のぶ)の演技も素晴らしく、何とも切なく哀しい場面となっていました。

今回の配役のもう一つのお楽しみは中村七之助の小金吾とお里の2役。急な代役で、同じ演目の中で男女を演じることは精神的にも肉体的にもさぞ負担が大きかったことでしょう。小金吾は表情も声もいささか硬く、娘役のお里の方はのびのびという印象でしたが、意識してそのように演じ分けているのでしょうか。いずれも熱演でした。

歌舞伎公演には珍しく、平成中村座では当然のカーテンコールに応えて定式幕が開けられ、
一列に並んだ出演者が姿を見せると客席は総立ちのスタンディングオーベイション。
勘三郎さんは、同朋高校の生徒に「ありがとう」と、聞いているこちらまで温かい気持ちになるようなやさしい言葉をかけていらっしゃいました。

勘三郎さんの芝居への熱い思いとカリスマ性で引っ張り続けている中村座。
来年のニューヨーク公演がますます楽しみです。(多分行けないけど)

IMG_1345.jpg位置情報小金吾、死ぬ間際の立ち回りの直前に影武者と交代していました。
「えっ!早変わりで出てくるの?」とサプライズも期待しましたが、次の幕の
お里役の支度のためだったみたいです。このあたりにも急な勘太郎休演の苦労がしのばれますね。

位置情報開演前、私たちの席の近くでは篠山紀信さんが客席を“激写”カメラ 
終演後のロビーでは串田和美さんもお見かけしました。
もちろんお美しい勘三郎夫人もね。


体育館は想像以上に芝居小屋に変身、でもアルコールなし(だって高校だもーん)
のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 122 わーい(嬉しい顔) vs 122 ふらふら)
ニックネーム スキップ at 01:14| Comment(9) | TrackBack(3) | 歌舞伎・伝統芸能
この記事へのコメント
>スキップさま
お疲れさまでした。今回のツアーの目玉がこれと注目していました。成功すれば日本全国どこでもたちまち中村座に変身でございます。
観客の心を自在に釣る勘三郎丈の真骨頂発揮でございますね。だからこそ,座組みのバランスとして勘太郎丈の存在は大きいとびわ湖ホールの公演で痛感しました。
いいな〜。行きたかったな〜。三色の幕を見ると心浮き立ちます。
青春18切符の期間内なら迷わなかったのですが,何といっても交通費ゼロに勝るものは無く,びわ湖ホールで観劇してしまいました。
Posted by とみ at 2006年09月26日 12:39
スキップさん、これは楽しい中村座でしたね。
高校生や地元ボランティアを巻き込んでの、温かい襲名披露でした。わが町の中村屋〜♪なんて、親しまれたら最高です。
勘太郎さんがおみえにならないのが本当に残念ですが、芝のぶさんのがんばりもみられたし♪満足満足です!!
Posted by 恵美 at 2006年09月26日 13:37
スキップさま♪

平成中村座巡業西コースの最後なのですね〜。長い興行本当にお疲れ様です。

勘三郎さん、演技といいお人柄といい、本当に魅力的な方ですね。スキップさまのレポを拝見して改めて思いました。
勘太郎さんの休演は残念でしたが、七之助さんをはじめ皆様が頑張ってらして素晴らしかった。
この公演見れて良かったです。
Posted by dandan at 2006年09月26日 18:47
♪とみさま

勘三郎さんは口上でも「精一杯力を込めて演じますので」とおっしゃっていました。
観客への訴求力、客席を味方につけるワザは歌舞伎界でも指折りと拝察いたします。
私もこの演目で勘太郎さんの存在の大きさを改めて感じました。お三方揃った舞台でもう一度観たい演目です。南座は“狐”ですものね。

あの三色の幕は何ともいえず心躍らせるものがありますね。+座布団の平場で体育館も十分芝居小屋になることがわかりました。でもつい体育座りしちゃったりして(笑)。


♪恵美さま

ほんとに楽しかったです。
バスを降りた時から、平成中村座のTシャツを着た高校生が大きな声で誘導してくれて、ボランティアスタッフの方たちも一生懸命で、みんなで作り上げているっていう雰囲気が何となく懐かしくもあり、芝居小屋の雰囲気ともマッチしていましたね。


♪dandanさま

勘三郎さんは先日の記者会見でも「私は今とてもいいカンジ。体力・気力も充実しているし、容貌もまだそんなに衰えていなし」とおっしゃっていたそうです。それに加えて温かくて親しみやすい人柄とくれば、鬼に金棒ですね。
この巡業が終わると、いよいよ残すところは南座の顔見世興行。
今度こそ、中村屋3人揃った舞台を観せていただけると楽しみにしています。
Posted by スキップ at 2006年09月27日 01:39
スキップさん
歌舞伎初心者の私は、スキップさんのレポを読んで
更に理解を深める事が出来ました〜。
自宅からチャリでも行ける距離の高校で、こんな興行を
やってくれるなんて、歌舞伎が身近に感じられます。
そして、体育館で体操座りをしたり、ガヤガヤとお弁当を
食べたりしながらの観劇は、劇場では味わえない雰囲気でした。
私なんかのエントリーは稚拙でお恥ずかしいのですが、
TBさせて頂きましたm(__)m
Posted by みんみん at 2006年09月28日 22:47
♪みんみんさま

ご自宅からチャリンコだなんて、そんなにお近くだったのですか。
昔の芝居小屋ってきっとあんなカンジで、歌舞伎も庶民の娯楽だったのでしょうね。
歌舞伎は初心者でも(私も永遠の初心者です)、たくさんお芝居をご覧になっているみんみんさんの感性あふれるレポ、楽しく読ませていただきました。
そうそう、名古屋グルメもまた教えてくださいね。
Posted by スキップ at 2006年09月29日 00:48
8/30に東京の板橋で観た感想をTBさせていただきましたm(_ _)m
名古屋の中村の地での平成中村座、体育館を貸してくれた学校の生徒たちもこんな風に協力してくれたんですね。彼らにとっても一生の思い出になることでしょう。絶対、一度は歌舞伎座にも足を運んでくれるんじゃないかな。
勘太郎くんの休演を七之助、芝のぶのお二人がしっかりとカバーしてくれてましたよね。芝のぶちゃんはいつもピンチヒッターが多いのだけれど本役でこれくらいの役がつくようにもう少しなってくれると贔屓の私としては嬉しいのだけれど。
とにかく東京でというのもなんでしたが、遠征できない身としては巡業の雰囲気を味わえてよかったです。来年のGWは名古屋にいる妹の家に遊びにいくので、その頃何か歌舞伎をやってないかしら、御園座とかでとか遠征もどきをするのを楽しみにしているのでした。

Posted by ぴかちゅう at 2006年09月29日 01:28
スキップさんこんばんは。
コメント&TBありがとうございました!

奥様はもちろんのこと、紀信さんに串田さんもいらっしゃったんですね(残念ながら私は未遭遇です/泣)

とにかく、いい雰囲気の小屋がけでした。
『平成中村座』のように、気楽に出かけて楽しく見れる歌舞伎公演がもっともっと増えるといいんですけどねえ。
Posted by 水無月 at 2006年09月30日 00:07
♪ぴかちゅうさま

同朋高校生やボランティアスタッフの方たちなど、地元総出で盛り上げてる、という雰囲気がいい感じでした。
芝のぶさん、先に神戸で観た昼の部『本朝廿四孝』でも腰元濡衣を好演していらっしゃいました。ほんとに、歌舞伎座の晴れ舞台で大きな役を演じられる姿を観たいですね。


♪水無月さま

紀信さんは、それと気づかないお客様が係の人と間違えて席のことを尋ねていらっしゃいました・・・見ているこちらが冷や汗かきました(笑)。
いかにも“手づくり”という雰囲気がいいカンジでした。ほんとに、こんなふうに身構えずに歌舞伎を観られる機会がもっと増えるとうれしいですね。
Posted by スキップ at 2006年09月30日 03:28
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