2007年05月22日

鬼平+釣女=最強!

父祖の代(!)からの鬼平ファンとしては見逃す訳にはいかないでしょう、ということで、行ってきました新橋演舞場。

新橋演舞場 五月大歌舞伎  
昼の部  5月20日(日) 11:00  1階11列センター
夜の部  5月19日(土) 16:00  1階3列センター


『鬼平犯科帳』は、火付盗賊改方長官・長谷川平蔵の、悪人からは「鬼の平蔵」と恐れられている悪に対する完膚なきまでの厳しさと、その反面、周りの人たちや捕らえた盗賊に対する細やかな人情味あふれる人物像が魅力的な池波正太郎原作の時代劇ですが、今回舞台化された「大川の隠居」は、その“情”の部分を描いた作品で、さながら世話物の風情でした。

幕が開くと大川端船着場。われらが平蔵・中村吉右衛門が花道から密偵粂八(中村歌昇)の操る船に乗って登場すると、そこはすっかり鬼平ワールド。派手な立ち回りがある訳でもなく、耳目をひきつける見せ場や見得が用意されているというのでもなく、淡々と、だけど、じんわり心にしみ入りながら物語は進みます。平蔵曰く、『嫌われることばっかりやってる人間はな、本当は心の中では好かれてぇ、好かれてぇ、と思ってるもんなんだよ。』 なんて、心に響くセリフがいっぱい。特に、大詰の船宿の場面、平蔵と友五郎、お互いが素性を明かさないままそれぞれ言いたいことを言い合い、自分の生い立ちや人生を語っていく中で共感が生まれ、二人の心が寄り添っていく様は、中村吉右衛門と中村歌六の熱演もあって、さながら二人芝居の台詞劇のよう。見応え聴き応え満点でした。

友五郎が盗んだキセルを目の前で使ってみせることで自分の素性を明かす平蔵。驚いてひれ伏す、すでに平蔵と心が通じている友五郎。その友五郎に、『これでその印籠も返してくれ。キセルも印籠も俺にゃぁ大事な親父の形見なんだよ。』と小判を差し出す平蔵・・・あたたかい眼差しとやわらかな語り口、吉右衛門・平蔵の真骨頂です。

ひとつだけ残念だったのは、暗転が多く、しかも長く、流れが途切れてしまうように感じたことです。映像で目に馴染んだ作品を舞台化する難しさを痛感しました。

その後の『釣女』は、吉右衛門の醜女がおかしくもかわいらしく、ついさきほどまで鬼平で渋くキメていたことがウソのよう。大名某の中村錦之助に『錦ちゃ〜ん、ステキ〜』と叫ぶなど、茶目っ気と、襲名したばかりの後進を盛り立てる心意気が感じられて、とても微笑ましかったです。この醜女、渡辺えり子さんがおもしろいメイクしたらこんな顔になるんじゃないかしら、とふと思いましたが(きゃぁ〜、えり子さんごめんなさ〜い!!)、何だかイヤなことがあって落ち込んでもこの顔見たら「ははは わーい(嬉しい顔)」って笑えそうな気がして、舞台写真買ってしまいましたぁ。


『火付盗賊改方・長谷川平蔵であるっ』っていうカッコイイせりふも聴きたかったなぁのごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 210 わーい(嬉しい顔) vs 213 ふらふら)
ニックネーム スキップ at 23:37| Comment(10) | TrackBack(4) | 歌舞伎・伝統芸能
この記事へのコメント
えり子さまへ飛びましたか〜〜(笑)そういえば♪(爆)
しかし『釣女』・・よかったです。・・・というか、
『鬼平・・』からの流れがよかった・・・というか、
パリッと渋かっこいい後にめちゃおちゃめさんを観せられたら
そりゃ落ちるで〜〜・・というか・・!!
ぜんざいの後の塩昆布の法則でございますね。
もうたまりませんでした♪
おじいさまの代からの鬼平ファンなのですかっ!
ドラマも本も読んだ事ないのですが、入るなら
どちらからがよいでしょうか?
(鬼平に落ちたのか、吉右衛門さまに落ちたのか??
今、幸せ微妙な心理状態なのです♪)
Posted by かずりん at 2007年05月23日 09:49
スキップ様、まいど!
回り舞台とか、幕前とか、絶対に使わないのが歌舞伎。
だから「忍」の一字で♪私待つわ〜♪と口ずさみながら(ウソ)待った…
正直言って辛いよね…。ウウ…。
そこいら辺とか色々いじくって、再演を求むっ!
ストーリー知ってんのに楽しめたのは、
テレビ版から抜け出たように、鬼平はナマでもバッチリだったからですね。
>『火付盗賊改方・長谷川平蔵であるっ』
次回は(再演ある気満々)是非言ってもらいたいで〜す!歌昇は小林役で!

>渡辺えり子さんがおもしろいメイクしたらこんな顔
んにゃ、吉右衛門の方がオモロイ(笑)
舞台を観る前に、写真販売コーナーに立ち寄って、ガハがハ笑って、モチ、そく、購入しました!
パウチにしたり、引き伸ばして額に飾りたい(ヅカか!)
Posted by かしまし娘 at 2007年05月23日 10:07
TB&コメント有難うございました。「鬼平+釣女=最強!」ということでしたので両方の感想をTBさせていただきますm(_ _)m
七代目幸四郎の鬼平は見たことがないのですが、萬屋錦之介の鬼平はTVでチラっと見たことがあります。かなりこわかったという印象があります。吉右衛門の鬼平はやはり破顔一笑の魅力がたまりませんよね。彼になってはじめてこのシリーズに魅力を感じました。原作は残念ながら一度も読んだことなし。中学時代の担任の男の先生が全部読んでるって言ってました。老後の楽しみにとっときます。
>シリーズ化して鬼平の他の物語も舞台に上げていただきたい......大賛成です。毎年の五月の演舞場で定番化したらどうかしら。若めの男性観客が増えるみたいですよ。
「釣女」の醜女、もうたまりませんでした〜。DVD化希望します〜(^O^)/
Posted by ぴかちゅう at 2007年05月23日 21:25
♪かずりんさま

ぜんざいの後の塩昆布とは言い得て妙ですね(笑)。
「鬼平」は祖父も父も大好きで、吉右衛門さんのお父様の白鸚さん(その頃は
松本幸四郎さん)バージョンもおじいちゃんの膝の上で一緒に見たような
おぼろげな記憶が・・・。
私は先にTVから入って、大人になって小説を読んだのですが、やっぱり
吉右衛門さんの魅力をかみしめる意味でも、まずはTVドラマから観て
いただくのがよろしいかと。ビデオやDVD、いっぱい出てるようですし。
Posted by スキップ at 2007年05月24日 01:45
♪かしまし娘さま

そうなんですよね。他の演目を観る時はそれほど感じないのですが、
映像のテンポに慣れてしまっているので、あのビミョーなインターバルは
忍の一字ですね。

ぜひぜひ再演希望!てか、シリーズ化希望!!
立ち回りのある編や極悪人出てくる編、人情涙編、これからもいろんな
鬼平が観たいです。歌昇さんは小林で!(笑)
Posted by スキップ at 2007年05月24日 01:50
♪ぴかちゅうさま

萬屋錦之介の鬼平は見たことがありませんが、確かにコワそうですね。
中学校の担任の先生って、ぴかちゅうさんたち中学生相手に「僕は鬼平
全部読んでるんだ」みたいなことを宣言されていたのですか?オモシロ過ぎ(笑)。

吉右衛門さんは今回はどのお役ものびのび楽しそうに演じていらっしゃる
という印象を受けましたが、中でも“醜女”は極めつけでしょうか(爆)。
Posted by スキップ at 2007年05月24日 01:56
スキップさま さっそくまたお邪魔致します。 錦之助さんもなさってましたね〜。 当時八代目幸四郎さん大好きっ子でしたので、拒否反応バリバリでした(笑)。けして錦之助さんが嫌いなのではなかったのですが「鬼平」だけは‥みたいな(笑)。 吉右衛門さんが鬼平をなさると聞いた時は嬉しかったです。 今回歌舞伎の「鬼平」も素敵でした。 次回は是非決め台詞が聞きたいですね。
Posted by AYAMASA at 2007年05月24日 12:52
>七代目幸四郎の鬼平......と自分で書いてあるのにびっくり。八代目の間違いです。ごめんなさいm(_ _)m寝不足すぎてダメですね。
それと担任の先生の話は、最近お会いした時にお聞きしたんですよ。TVは全く観てないんですって。『「鬼平犯科帳」お愉しみ読本』しか読んでいないので、いつかじっくり読める余裕を持てる日がくるといいなと思ってます(戯曲読むのは抵抗ないんですが小説読むの苦手なんです)。
来年の五月にさっそく決め台詞つきでのシリーズ上演、期待しちゃいますよね。
Posted by ぴかちゅう at 2007年05月24日 20:55
♪AYAMASAさま

ようこそいらっしゃいませ(^o^)丿
錦之介さんといえば『破れ傘刀舟』ですかね?
「てめぇら、人間じゃねぇっ!!」って啖呵切るやつ、あれが印象に
残ってます。長谷川平蔵はやっぱり見た記憶がないです。

鬼平は“鬼”の部分があって、“情”の面も際立つと思うんです。
その意味でもあの決めゼリフは重要ポイントです(笑)。
Posted by スキップ at 2007年05月24日 23:41
♪ぴかちゅうさま

そうだったのですね。
小学校の先生も、教え子が自分と同じものをよいと思ってくれるお年頃に
なって、うれしいでしょうね。

私はぴかちゅうさんと逆に戯曲を読むのが苦手で、すぐ眠くなって
しまいます。。。眠いといえば寝不足・・・ご無理なさらないでくださいね。
Posted by スキップ at 2007年05月24日 23:46
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