
GOD FEARING 「ドラクル」
9月8日(土) 7:00pm シアターコクーン 1階J列下手
作・演出: 長塚圭史
出演: 市川海老蔵 宮沢りえ 永作博美 渡辺哲 山崎一 手塚とおる 山本亨 市川しんぺー
明星真由美 中山祐一朗 勝村政信
18世紀フランス。森の奥深くひっそりと暮らすレイ(市川海老蔵)とリリス(宮沢りえ)。レイは15世紀に多くの子供を惨殺して火刑になったジル・ド・レという貴族(実在の人物らしい)が恨みを持って吸血鬼として生まれ変わった者ですが、300年生きてリリスと出会い、心の平安を得て本能を押さえて暮らしています。リリスもまた、わが子を自らの手で殺めたという拭い難い過去を持っていました。リリスは体調が悪く医者(渡辺哲)が週に1回往診していますが病状は悪化するばかり。ある日リリスの前夫でニュイラクーペの領主アダム(勝村政信)の使いにより、黒死病に苦しむ人々への祈りの象徴とするべくリリスは無理やり街へと連れ去られてしまいます。これを知ったレイは激しい怒りに燃え、ずっと押さえてきた自らの本性を目覚めさせて、吸血鬼として復活してリリスを奪い返しに行くのでした・・・。
全編を通じて弦楽四重奏の生演奏が流れ、凝った舞台装置と美しい照明が印象的。特に照明は幻想的で、時には深い森の中の雰囲気を醸し出したり、教会の壁や街中を表わしたり。暗転も、舞台側から強烈な光(それも場面によって群青だったり白だったり)が客席に向かって照射され、その光が幕の役目を果たすという凝った手法でした。
市川海老蔵のレイは、出だしは弱々しくぼんやりとした雰囲気。コスチュームも中途半端にカールした髪型も何だかなぁ、という感じなのですが、1幕の終盤、リリスが連れ去られ怒りに燃えるあたりから俄然輝きを放ちます。2幕の登場ではマントを翻し、ストレートの長髪に牙。美しさと色気と自信に満ち溢れていてホレボレします。「海神別荘」の公子もそうでしたが、市川海老蔵はこんな超人的な役が本当によく似合います。マント着せたら日本一!というカンジ。(以前演じた「信長」もこの範疇。人間だけど。)
あくまでも美しくはかなげで、それなのに凛としてとても強いリリス(宮沢りえ)。ただアダムを求める気持ちが頑なに凍りついてしまった、激しさの裏側に哀しみを滲ませる、誰よりも“女”のエヴァ(永作博美)。そして、愛するレイを元の吸血鬼に戻したいとストレートに向き合う、とても人間味溢れる吸血鬼仲間のマリー(明星真由美/ベラみたいな衣装にメイクでいかにもってカンジで楽しい)・・・3人の女優さんはそれぞれ適役で熱演でした。
ドラマとしては、レイが吸血鬼としての本領を発揮し、アダムやその妻エヴァや悪徳司教(手塚とおる)が加わる2幕が断然盛り上がりを見せます。それでも、結局諸悪の根源であり権力を持っているのは教会(司教)で、リリスもエヴァもその犠牲者で、吸血鬼として甦ったレイでさえ、卑劣な司教の放つ聖水や十字架には敵わず捕らえられた挙句、最後にアダムが見せた憐憫により朝日を浴びて昇天するっていうラストはいかにもありがちで、長塚圭史の脚本にしてはずい分常道だなと感じました。
それにしても「歌舞伎に戻った時の自分の成長が見えた」なんて、自信マンマンです。この対談はお稽古に入って間もなくらしいので、七月の松竹座降板事件からもそんなに遠くないはず。
團十郎お父様も「立ち直りが早すぎる」と嘆いていらっしゃいましたが、この突き抜け感は、やはり市川海老蔵、良くも悪くも到底常人には及びもつきません。
長塚圭史コクーン初進出のごくらく地獄度









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>長塚圭史の脚本にしてはずい分常道だなと感じました。
それなら行ってもよかったかも(笑)
何年も前に「阿佐ヶ谷スパイダース」を観たのですが、暴力とか性がグロで
完全に引いてしまって…。あ、橋本じゅんも出てたのに。
>到底常人には及びもつきません。
グハハ。だから、吸血鬼なんだ!
私の中で、吸血鬼と言えば「ポーの一族」なんですよ。グフフ。
>この突き抜け感は、やはり市川海老蔵、良くも悪くも到底常人には及びもつきません......祖父の11代目さんも相当変わっていたようですから、その遺伝かしらと思ってます。
「ドラクル」私も来週観ます。長塚圭史の作品も今回が初めて。力を入れすぎずに観ることにします。
そうなんですよね。長塚圭史・・私も些か苦手かも、だったのですが、
今回は比較的ソフト路線。それでもグロというかスプラッター的な
シーンはありました。ドラキュラですものね。
「ポーの一族」!エドガーですね、萩尾望都ですね!!
私も一時夢中になって読みました。懐かし〜い
しきたりを重んじる伝統世界で、海老蔵さんや十一代目のような人が
現れるところが「歌舞伎」の底知れぬ魅力ですね。
ナルホド、山口祐一郎さんも確かに浮世離れした感じ、あります(笑)。
海老蔵さんはさておき、この作品をぴかちゅうさんがどんなふう
お感じになるか興味シンシン。レポ楽しみにしています。
やっとお邪魔できました〜。
>長塚圭史の脚本にしてはずい分常道だな
そうですよね、もっとぶっ飛んだ感じなのかな?
と想像していた部分もあったのですが(笑)。
そして、女優陣は見応えありましたね!!
長塚圭史さんの作品にはこれまで何度かヤラレましたからね。
「ドラクル」はかなり正統派な印象を受けました。
女優陣は、りえちゃん、永作さんはこれまでにも観たことが
あったのですが、明星真由美さんは多分初見で、あのいでたち
でしょ?かなりインパクト強かったです(笑)。
「ドラクル」の照明と音楽と舞台装置、とっても良かったですよね!
照明の原田さんファンの私としては、その点はとーっても満足でしたv
市川海老蔵さんは、実は初見でしたので、どういう方か分からず、
個人的にはなんとなく不完全燃焼な感じだったのですが、
スキップさんの記事を読んで、ちょっと納得した、というかすっきりしました。
いつか歌舞伎の舞台で観てみたいなあ、と思います。
あの音楽と照明と舞台装置で、独特の世界観をつくり出していましたね。
原田保さん、私も今後注目して見るようにします!
海老蔵さんはねー(笑)。
ぜひ一度歌舞伎の本舞台をご覧になることをオススメします。
特に「歌舞伎十八番」と呼ばれる成田屋の家の芸を。
全く別の輝きを放つ海老蔵さんをご覧になれること請け合いです。
だからすぐ阿佐ヶ谷スパイダースを観ようとかいう感じでもないのですが、この作品は凄いですね。「ひばり」やら「ロープ」やらいろいろイメージも重なってきて勝手に自分で盛り上がっているのかもしれませんが、とにかくしばらくこの雰囲気にひたりこんでおります。
海老蔵、来年1月演舞場で「鳴神不動北山桜」の通し上演をやるみたいですから、恭穂さんにもおすすめですよね。スキップさんもきっといらっしゃることでしょう(^O^)/
「ドラクル」お気に召したようですね(^^♪
脚本、出演者、舞台装置、照明、音楽、衣装・・・それらがトータルに
独特の雰囲気を創り上げていてすばらしかったですね。
海老蔵さん、1月は浅草と聞いていましたが、演舞場なのですね。
「鳴神不動北山桜」ですか。う〜ん、観たい・・・しかし・・・(悩)。
いや〜、私は直感的に観るタイプなので、とんでもない見当違いかもしれません。
ぼんやりしていて大事なセリフを聞き逃したり見逃したりすることもよくあるのです(恥)。
ただ、あのアダムの「朝日の入る天窓を開けておいたから」というセリフはとても心に
残りました。そこに司教の「神の権威を知らしめる道具にする意図」という解釈を加えて
くださったぴかちゅうさんに、こちらこそ感謝申しあげます。