2008年06月17日

お気に召さずばひと夜の夢とお許しを

midsummer.jpgA MIDSUMMER NIGHT'S DREAM
   〜THEじゃなくてAなのが素敵〜

6月15日(日) 2:00pm シアター・ドラマシティ 5列下手

原作: W. シェイクスピア  翻訳・演出: G2
出演: 山内圭哉 竹下宏太郎 神田沙也加 樹里咲穂 
菜月チョビ 小松利昌 藤田記子 出口結美子 権藤昌弘
植本潤 新谷真弓 コング桑田 陰山泰


ストーリー: アテネの貴族の娘・ハーミア(神田沙也加)はライサンダー(竹下宏太郎)と愛し合っていますが、父イジーアス(陰山泰)は自分の気に入ったデミートリアス(山内圭哉)と結婚させようとします。アテネ侯爵シーシアスに親に逆らうなら死刑か尼僧にならなけらばならないと宣告されたハーミアは、ライサンダーとともに森の中へ駆け落ちします。それをデミートリアスと彼を愛するヘレナ(出口結美子)が追いかけます。森の中では妖精の世界の王・オーベロン(コング桑田)と王女ティターニア(樹里咲穂)が喧嘩中。まぶたにひとしずく落とせば目が覚めた時最初に見たものと恋に落ちる薔薇を託された妖精パック(植本潤)のいたずらや勘違いもからんで、夏の夜にファンタジックな恋の大騒動が展開されます。

カーテンコールで山内圭哉が最後にピンで出てきた時、「あれ、僧正主演だったの?」と思っちゃいました。僧正が目立たなかったという訳ではなく、キャストすべてのキャラが立っていたから。

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2008年05月26日

「49日後・・・」

49.jpg

浄めのプロ集団「オーワコーポレーション」
供養までのすべてを請け負う4人の男たち−社長 川口(池田成志)・社長の同級生にして恋人?大和田(古田新太)・バイト 相沢(八嶋智人)・新入社員 中西(松重豊)
そこに加わる紅一点葬儀社の女 能勢(小田茜)

Seven Weeks Later 「49日後・・・」
5月25日(日) 6:00pm シアター・ドラマシティ 7列上手 
 
作: 竹内 佑   演出: 池田成志    原案: 古田新太&池田成志


自殺した独り暮らしの老女の家に清掃にやって来た川口社長以下オーワコーポレーションの4人。立ち会う葬儀社の女・能勢は“遺族”からの依頼として、家の権利書と実印を探せと執拗に迫ります・・・。

ホラー&スプラッター。
コワかったり気持ち悪かったりしますが、テイストは意外にもあっさり目という印象でした。
仏教で人がこの世とあの世の間を彷徨うとされる7週間=49日をタイトルに冠していますが、特に死や生をテーマにしているというのでもなさそう。
自殺した独り暮らしと思われていた老女が実は独りではなく、息子と一緒に暮らしていた、その息子はひきこもりの上にDVで母を虐待していた、そして息子は殺されたらしいけれど、殺したのは母か、妹である娘か、それとも二人の共謀か・・・そのあたりは観る側のイマジネーションに委ねられているようです。
しかしながら、伝わってくるメッセージは「誰が犯人か」ではなく、「人が存在したという厳然たる事実を消し去ることはできない、たとえ死んでしまった後も」ということのように感じました。自殺したお母さんは、権利書と実印を隠し、家のいろいろな場所を探させることによって、消し去ったはずの兄の存在を妹の心に浮かび上がらせ、やがて見つけ出すであろう権利書を自分の遺髪とともに埋めることで自身の意志も印象づけようとしたかのように。どんなに浄めのプロ集団の手によっても、やはり人間が生きていたという証を消し去ることなどできないということでしょうか。

・・・なんてことをくどくど考えずに楽しめばよいお芝居なのかもしれません。
あて書きと思われる男性4人のキャラクターが際立っていて、ほんとにおもしろいというか安心して観ていられるというか。まぁ、八嶋智人なんかはいつもこんなふうにちょっとうざ〜い感じではありますが。古畑任三郎、上手かったです。

ワタシ的にはなるし〜川口のお風呂が長すぎて(笑)、ふるちんとのからみが少なかったのはちょっぴり物足りなかったな。お風呂上りのタオル一丁、は見せてくれましたが。

古田新太はやっぱり見せて聴かせてくれます。
「インチキな感じでヤル気のない、ダラダラした人をやりたい」とプログラムで語っていますが、あの送風機?の風をあてられる“顔芸”に始まって、全編で一番笑い取ってたのではないかしら。
中でも一番のお気に入りは能勢さん相手に凄むところ。ドスの効いたいい声でした。そういうオチね、っていうこともわかるのですが、久しぶりに悪のふるちんの片鱗を聴いた感じです。ふるちんの気合入った狂気のお芝居がまた観たいなぁ、と思いました。

ひらめき そしてそんな私のテンションが一番上がったのは・・・
終演後、ムンパリさんと劇場外のカフェであれこれ楽しいおしゃべりに興じている時、ほどなく出てきたサングラスにキャップ、半ズボンのふるちんを発見して、全面ガラスのカフェの窓ごしに満面笑顔で手を振る私に、ふるちんが仕方なく(?)対面で手を振り返してくれたハートたち(複数ハート)その時に他なりません。これもお茶に誘ってくださったムンパリさんのお陰です。ありがとうございました。


なるし〜も松重さんも小田茜ちゃんも見たのに八嶋さんだけ見逃しちゃったねのごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 337 わーい(嬉しい顔) vs 338 ふらふら)
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2008年05月21日

ベルばらスピンオフ

jerodel.jpg

“スピンオフ”という言葉が一般的に認知されるようになったのは、「踊る大捜査線」くらいからなのだそうですが、今回の「ベルサイユのばら」も、「外伝」と称して、これまで主役ではなかった人々−ジェローデル・アラン・ベルナール−を主役にしたある意味スピンオフ3部作。ただ、原作やこれまでの舞台の中で、脇役とはいえキャラクターやエピソードが出来上がっていて、自由に広げるという訳にはいかないところが悩ましいところでしょうか。

宝塚歌劇雪組公演 宝塚ロマン 『外伝 ベルサイユのばら -ジェローデル編-』
5月18日(日) 4:30pm 梅田芸術劇場メインホール 2階1列センター

原作: 池田理代子  外伝原案: 池田理代子
脚本・演出: 植田紳爾
出演: 水 夏希 白羽 ゆり 彩吹 真央 音月 桂 萬 あきら 飛鳥 裕 彩那 音 ほか


まずは、「ベルサイユのばら」をこのような形で、大胆にアレンジして上演するという植田紳爾さんの英断に拍手を贈りたいです。
ストーリーはあくまで観客が原作や元の舞台を知っているという前提の下に展開していくという印象ですが、オスカルを愛する近衛隊副官・ジェローデルを主役に据え、アナザストーリーが展開します。オスカルは出てくるけれどアンドレは出て来ず、アントワネットは出て来ないけれどフェルゼンは登場します。音楽もすべて新曲で、るんるんご覧なさい ご覧なさい ベルサイユのばぁ〜〜ら や るんるん愛 それは〜甘く〜 も歌われません。宝塚で「ベルばら」といえば定番中の定番。これらをばっさり削ぎ落とすことはとても勇気のいる作業だったと思います。

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2008年05月19日

一人勝ちのメディア

medea2.jpg「満足だわ。」「もう一度言います。満足だわ、とても満足。」
物語のラスト、わが子の死を眼前につきつけられ、悲嘆にくれる夫に向かって勝ち誇ったように言い放つメディア−神さえ畏れぬかのような自負と圧倒的な存在感。

「王女メディア」
5月11日(日) 2:00pm 兵庫県立芸術文化センター中ホール
1階A列センター

原作: エウリピデス 上演台本: 笹部博司
演出: 栗田芳宏    衣裳: 朝倉摂
出演: 松井誠  山崎銀之丞  菅生隆之  赤坂泰彦


クレオン(夫の婚約者の父である領主)に国外追放すると言い渡され、せめて1日猶予をほしいと懇願してそれが認められた時、クレオンがまだ「許す」と口にしていないうちから静かにそして冷酷な微笑をうかべていたメディア。

そのクレオンと娘(自分の夫が結婚するはずだった女)が自分が差し向けた毒薬によって死んだという恐ろしい末を聞きながら、髪をおろし恍惚とした表情で美しく舞うメディア。

そして、冒頭に書いた、嘆き苦しむ夫の目の前で、「満足だわ、とても満足」と勝ち誇って言い放つメディア。

誰も敵う者などいません。メディア、一人勝ちです。

メディアは、自分の愛を貫くために父を捨て国を捨て、弟を殺してまでイアソンと出奔します。そして、そのイアソンが自分を裏切って別の女性と結婚すると知るや、凄まじいまでの憎悪でその婚約者と父親を毒殺し、愛するわが子まで手にかけて夫に復讐するような女で、“ギリシャ悲劇が生んだ史上最高の悪女”とされていますが、そうかな。
もちろんメディアのとった行動は戦慄が走るほど恐ろしいものですが、その原因は夫であるイアソンにあるし、イアソンにメディアという妻がいることを知った上で自分の娘と結婚させようとしたクレオンにあるのではないか、もちろんそこに至るまでにもメディアの激しい性格が災いしたことは多々あるようですが、夫の裏切りがなかったら、メディアをあんな行動に駆り立てるようなことにはならなかったのではないか−そう考えるとあの勝ち誇ったようなメディアの顔も、とても哀しいものに見えてきます。

松井誠の舞台は初見。
誠サマ親衛隊と思しき女性の熱い視線を受けて熱演でした。
元より美しいし、迫力十分。メディアの、ちょっと凡人を寄せつけない雰囲気とか、誇りも気位も高い感じがよく出ていました。ただ、他の共演者とお芝居のトーンが違うような印象は受けました。一人芝居のような雰囲気・・・いっそ一人芝居の方がよかったかもしれません。
ひとつ気になったのは、セリフが時折関西なまりのようなイントネーションに聞こえたこと。
「あれ?松井誠って関西出身だったかな?」と思いましたが、九州のご出身とのこと。あれは何だったのかしら。

栗田芳宏の演出は、余分な装飾を極限まで削ぎ落としたものでした。
すでにメディアとイアソンの結婚生活が破綻したところから始まりますが、それまでの経緯やその後に起こる事件を案内役(赤坂泰彦)に語らせるという手法で、これが案外受け入れやすく、初見でしたが物語を理解しやすくさせてくれました。
舞台装置もとてもシンプルで、舞台中央奥に吊られた1枚の布で部屋の出入りや時の移ろいを表わしていました。終盤、この布をライトで赤く染めて徐々に吊り上げていくことによって、メディアが乗って天空に去ったという竜車をイメージさせたのには「さすがぁ〜」と感嘆しました。


「命令や指示はするものであって、されるものではない」なんて育ち方、してみたかったなぁ、のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 335 わーい(嬉しい顔) vs 334 ふらふら)
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2008年05月05日

タイトルロールの重責

turan.jpgお知り合いの方のお嬢様がこのお芝居に出演されているということで、「観てやってください」とGW直前にチケットをいただきました。「おいおい、こっちの都合も聞けよ」と思いましたが、幸か不幸かその日はGW中唯一予定のない日・・・という訳で、仕方なくありがたく拝見してきました。

祝祭音楽劇 『トゥーランドット』
5月4日(日) 1:00pm 梅田芸術劇場メインホール 2階1列下手

演出: 宮本亜門  脚本: 鈴木勝秀  音楽: 久石譲  衣装 :ワダエミ
出演: アーメイ(張惠妹) 岸谷五朗 早乙女太一 安倍なつみ 北村有起哉 小林勝也 中村獅童 ほか


「プッチーニのオペラを現代人の視点で甦らせた全く新しい音楽劇」ということで、鈴木勝秀の脚本、宮本亜門の演出、久石譲が全曲書き下ろしたオリジナルの音楽をオーケストラが生演奏、凝った豪華な舞台装置、ワダエミの華麗な衣装、その衣装の切れ端が挟み込まれたハードカバーのプログラムに至るまで、とにかくお金のかかった舞台という印象で、観ている間は結構楽しめました。なのに不思議なくらい後に何も残らないのはなぜ?

たとえばシェイクスピアには、「ハムレット」「リア王」「リチャード三世」・・・と主役の役名をタイトルロールとして冠した作品が多く見られますが、どの作品においてもその主役が圧倒的な存在感を放って芝居を支配します。タイトルロールがその役以上に作品そのものに持つ重さを改めて感じた舞台となりました。

そのタイトルロールを演じたアーメイは、台湾の歌姫というだけあって歌唱は聴き応えありました。しかしながら、たどたどしい日本語のセリフは別としても、その所作や立居振舞いに一国を支配する女帝としてのカリスマ性とか神秘性が感じられないのは如何ともしがたい。アーメイの演技力云々というより、制作側のキャスティング・ミスではないでしょうか。この役は本来ケリー・チャンがキャスティングされていたところ、映画撮影中の怪我のため降板ということだったので、じっくり人選する時間がなかったのかしら。アーメイの、カーテンコールでのチャーミングな笑顔や茶目っ気たっぷりの仕草を見るにつけ、もっと別の役、違う舞台で彼女と出会いたかったと残念に思いました。

思いの外よかったのは安倍なつみのリュー。一途にカラフ(岸谷五朗)を思う役どころで直球一本というカンジの演技は観ていて少々疲れますが、セリフも歌もよく通る声、可憐な容姿で輝きを放っていました。そういえば、ASAYANの女性ボーカリストオーディションで、後にモー娘となったメンバー中、なっちだけが一発合格だったよなぁ、と、なつかしく思い出しました。

IMG_3602.jpg印象に残ったのは早乙女太一の宦官ミン。中世的な魅力に男でも女でもないという宦官の役がよくハマっていて、スラリとした体躯で美しい踊りも披露してくれて眼福でした。セリフ回しなどは、先日観た「さらばわが愛 覇王別姫」のヒガシと重なるものがあって、いつかあの蝶衣役もできそうな感じ。ちなみにこの太一くん、出演者中最年少と思われますが、ロビーに飾られた祝花はダントツ1位でした。

納得いかないのは北村有起哉の物売り。単に物売りっていうのではなく、訳知りだし、最後にはトゥーランドットの賢こそうな家臣に納まっているし、きっと何か裏というか別の顔があるはず・・・なのに脚本上ではそれは一切カミングアウトされず。消化不良でこんな使われ方はもったいないなぁという印象でした。有起哉くんは歌ももう少しがんばってね。

位置情報 カーテンコールで右手を突き上げてやたら盛り上がっている男性グループを発見。なんかお揃いのTシャツ着てるし〜と思っていたら、それは劇場で売っていたノベルティのTシャツでした−なっちって人気あるのね〜。


当たり外れの起伏激しい亜門さん演出はさておき、スズカツさん脚本このところ不調と思われますがどうでしょうの地獄度 ふらふら (total 329 わーい(嬉しい顔) vs 329 ふらふら)
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2008年04月20日

涙の止めかた

midsummer.jpgも〜、オセローといいグロスター伯爵といい、そしてこのじじぃといい、鋼太郎さんにはヤラレっ放しです。

MIDSUMMER CAROL
〜ガマ王子VSザリガニ魔人〜

4月15日(火) 6:30pm シアター・ドラマシティ  
5列センター

作=後藤ひろひと 演出=G2
出演: 吉田鋼太郎 志村玲那 笠原浩夫 新妻聖子 山内圭哉 中山祐一朗 戸次重幸 月船さらら 
楠見薫 春風亭昇太 岡田浩暉


ストーリー: 自殺未遂を繰り返す元天才子役の俳優、銃弾を受けて担ぎ込まれたヤクザ、消火中に消防車に轢かれて骨折した消防士などナド 何かと問題を抱える入院患者のいるとある大病院。中でも、「お前が私を知っているというだけで腹が立つ」が口グセの会社会長・大貫はわがままで、偏屈で、病院中の人たちが手を焼いていました。そんな大貫の前に、交通事故で脳に重篤な記憶障害を抱えた少女・パコが、絵本「ガマ王子VSザリガニ魔人」を手にして現れます。パコと接するうちに大貫の心に変化が芽生え、やがて起こる夏の夜のクリスマスの奇跡・・・。

笑いを散りばめながら、やさしさと温かさと切なさがあふれた作品。
登場人物は皆、何かしらの傷を心に抱えていて、そんな人たちへ向けた作者の視線がとても温かく、そして一人ひとりが放つ言葉がどれもとても心に響きます。
中でも医師の浅野先生(岡田浩暉)−作者の後藤ひろひとが初演で演じたのは、今回春風亭昇太が演じた堀米ですが、大王の気持ちを代弁しているのは浅野先生の言葉ではないかしら。

自分が大切にしているライターをパコが盗んだと思い込み、パコ(志村玲那)を叩いてしまった大貫(吉田鋼太郎)。パコの記憶障害を知り、夜 病院のロビーで一人打ちひしがれて泣く大貫のところへやって来た浅野先生。自分を責め、「強くなければ生きてこられなかった」という大貫に、「どうして強くないといけないんですか。弱くてもいいじゃありませんか。」とやさしく諭す浅野先生に頑なな大貫の心も溶け出し、「先生、教えてくれ。子どもの頃から泣いたことがないから涙の止め方を知らないんだ。涙はどうやったら止まるんだ。」と問う大貫に

「簡単です。いっぱい泣けばいいんです。」

この言葉を聞いて大貫は解き放たれたように号泣します。慟哭と言ってもいいような泣き方。もちろん客席の私も涙をとめることなどできません。

パコは翌日になると前の日の記憶はすべてなくしてしまいますが、大貫がパコの頬に手を触れると、「おじさん、昨日もパコのほっぺにさわった?」と叩かれたことは忘れても大貫の手のぬくもりだけは覚えていました。この奇跡のような記憶に心を震わせ、パコのために何かできることをしようと、毎日パコに「お誕生日おめでとう」と語りかけ、パコがママからお誕生日のプレゼントにもらった絵本「ガマ王子VSザリガニ魔人」をともに読む大貫。やがて、パコのために、病院中でこの「ガマ王子VSザリガニ魔人」を演じることを思いつきます。そして、真夏のクリスマスの夜、ガマ王子を演じる大貫。
ザリガニ魔人と闘って、

ごめんよみんな。
どうしてなのかは知らないけれど、涙がいっぱい出てくるよ。
けれども何度も立ち上がる 不思議な力がそうさせる。
心のかたすみに急に生まれたこの気持ち……ごめんよみんな。


これに対してザリガニ魔人、

お前にまだこんな力が残っていたとは。

これは光岡に言われて室町が何度も練習したセリフ。
室町の姿に重ね、大貫の人生に重ね、そして自分自身にも重ね合わせて、またまた涙たらーっ(汗)

吉田鋼太郎は、前半はいつもイライラして周りの者を寄せつけない雰囲気の中に、病気のために自らの会社を離れなければならなくなった焦燥感や苛立ち、そしてどうしようもない孤独感を滲ませていて、いやなじじぃなのに魅力的です。花壇の中に踏み込んで必死にライターを探す時、「会社を作って、初めて出た黒字で買ったライターなんだ。」という姿に、決して平坦ではなかったであろうこの人の人生を思って涙が出ました。いやなヤツの段階でこれですから、後半は言わずもがな。泣かされ通しです。

キャストの中でただ一人、初演と今回の再演、そしてこの秋に公開される映画でも同じ役を演じる山内圭哉の龍門寺は「これ、地なんじゃない?」と思えるくらいハマっています。“ジュンペイ”とのいきさつを大貫に話す場面は僧正節炸裂です。爆笑しながら気がつくと涙出てた、というこの場面で、大貫が、「この病院に一人だけ信用できる医者がいる。そいつは涙の止め方を教えてくれた。」と言って今度は龍門寺に涙の止め方を教えるなんていう、泣かせる脚本が、さらに涙に拍車をかけます。

♪た〜らこ〜 た〜らこ〜 と歌っていたという志村玲那のほんとうに自然なパコ、ミュージカルのイメージを覆す新妻聖子の北斗の拳好きの男気(?)あふれる看護師 光岡、そして、いつもおだやかでどこまでもやさしい岡田浩暉の浅野先生、今回急な代役ながらザリガニ魔人のはじけっぷりも見事な笠原浩夫の室町など、キャストは全員適役で熱演。ほんとうに心に残る舞台でした。

位置情報 初演の時、「10年食える芝居を書いた」とおっしゃったという大王。
この分だとあと2回再演あるかしら?

位置情報 カーテンコールのなりやまぬ拍手に「アホか!」と客席に毒づいた山内圭哉さん。
「今日は昇太さん長かったんやから(終演時間が遅い)」と言っていたけど、その昇太さんの虫?のシーンでマジ笑いしてたみずすましくんは僧正ですから。


映画も絶対観たいけど、大貫は鋼太郎さんがよかったなぁのごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 324 わーい(嬉しい顔) vs 323 ふらふら)
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2008年04月18日

幻想のリフレイン

teiei.jpg華やかな刺繍を施した黄色の衣装をまとい、舞台奥から並んで進み出て来る項羽役の段小樓(遠藤憲一)と虞姫を演じる程蝶衣(東山紀之)。細かいリズムを刻む美しい音楽とともにとても印象に残るこの京劇のシーンは劇中3度繰り返されます。その時々で二人を取り巻く状況は違っていて、最後に二人が並び立つ場面では涙をこらえることができませんでした。

「さらば、わが愛 覇王別姫」
4月10日(木) 7:00pm シアター・ドラマシティ 21列センター


原作: 李碧華   脚本: 岸田理生
演出: 蜷川幸雄  音楽: 宮川彬良
出演: 東山紀之 遠藤憲一 木村佳乃 西岡徳馬 中村友也 沢竜二 ほか


物語の舞台は、1920年代から60年代にかけて、大きく揺れ動いた時代の中国。
「母に指を1本切り落とされ、そして売られた」という心にも身体にも深い傷を持つ程蝶衣(東山紀之)を幼い頃からずっとかばって同じ京劇俳優養成所で共に育った段小樓(遠藤憲一)。二人はやがて京劇のスターとなり、小樓を兄と慕い続ける蝶衣はいつしかそれ以上の感情を持つようになっていましたが、小樓は娼婦だった菊仙(木村佳乃)と結婚してしまいます。ひとり残された蝶衣はアヘンに溺れ、袁世卿(西岡徳馬)との関係を深めていきます。そして時代は容赦なく二人の運命に襲いかかります。

風に揺れる紗の幕が翻る中、舞台奥から駆け出して現れる子供とそれを追いかける母親のスローモーションで始まり、最後にもう一度この同じシーンのリフレインで幕を閉じます。まるで、今観たことはすべて幻、最初のこの場面から何も変わっていませんよ、と言っているかのよう。蜷川さんが「最終的には『夢だったんだろうか・・・』と幻の演劇を見たような、そんな感覚の舞台に仕上がるといいな。幻想を見たかのようにね。」とパンフレットの中で語られていましたが、まさにそんな感じ。

レスリー・チャン主演の名高い映画を観ていないのですが、3時間超という映画を2時間のナマの舞台に置き換え、しかも音楽劇という形をとることで、中国の現実の歴史を背景にした物語であるにもかかわらず、生々しさは少なく、どこかソフトで美しくしかも淡白な印象を受けました。
クライマックスの、小樓が民衆の糾弾に屈して蝶衣や菊仙を裏切ってしまう場面も、群集の狂気というか、小樓が追い詰められる過程が短くあっさりしているので、小樓の言動がとても唐突で思慮のないもののように見えてしまいます。ここは、その後の菊仙の死、ひいては蝶衣の死に繋がるところなので、もう少したたみかけるような表現が欲しいところでした。

とはいうものの、全編を覆う、時代に翻弄された登場人物たちの哀しみや悲劇性は十分伝わってきました。

東山紀之の程蝶衣は姿形はもとより美しく、表情少なにいつも悲しみを湛えた目で小樓を見つめる姿が切ない。小四(中村友也)に、「人の前に立つ人間は見えない所で努力を積まないといけないのよ」と諭す場面なんて、ストイックに体を鍛えていると聞くヒガシのイメージと重なったりもして。
遠藤憲一は、冒頭の歌唱にまず驚きましたが、演技はともかく、激昂した時のセリフなどここで声を張らないと、という時に声が出ていない印象を受けました。この人いつもこうだったかな。この日がたまたま調子悪かったのでしょうか。
木村佳乃の菊仙は凛としていて芯の強い感じがよく出ていましたが、娼婦というには少し品が良過ぎる感じ。それでも、子どもが産めない体になった菊仙が、アヘン中毒の禁断症状に苦しんで母を求める蝶衣を抱きしめて子守唄を歌い、「あなたのためにこの唄を歌うとは思わなかったわ」とつぶやくシーンは、それまで反目していた菊仙の蝶衣に対する複雑な感情が表れていてとてもよかったです。

そして、西岡徳馬の袁世卿がとてもカッコよかった。ヒガシをベッドに連れていく相手として、蜷川さんに請われての登板ということですが、さもありなん。革命勢力に捕らえられ、助けようとする蝶衣たちを目で制して、「私の死は京劇の死だ」と死んでいく世卿。悲惨ながら潔く、大人の男の度量を見せてくれました。

最後のシーンに重なって聞こえてくるのはオリンピックの入場行進のアナウンスらしきもの。オリンピックイヤーの今年、中国は私たちにどんな姿を見せようとしているのか、蜷川さんらしいプロットでした。


蝶衣が日本軍軍人の前で歌ったのは「牡丹亭」のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 323 わーい(嬉しい顔) vs 322 ふらふら)
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2008年04月05日

市川染五郎&大竹しのぶ with 大人計画

10:00pm過ぎまで残業しても仕事片付かないし、明日は朝イチからまた研修だし、とイライラとどんよりした気持ちを抱え重い足取りで帰宅途中に友人から届いたメールを見て、思わず背筋が伸びましたよ。

「染ちゃん大人計画に出演!」

しかも松尾スズキの新作って。
しかも共演は大竹しのぶって。
しかも8月って。

帰宅すると自宅のPCにもBunkamuraからのメルマガ、届いていました。

速報★松尾スズキ 待望の新作がこの夏シアターコクーンに!
シアターコクーン8月公演 『女教師は二度抱かれた』上演決定!!


2008年8月シアターコクーンでは、『キレイ』『ニンゲン御破産』につづき、松尾スズキ、待望の新作『女教師は二度抱かれた』を上演することが決定しましたので、いち早くご案内させていただきます。
待ちに待った待望の新作には、市川染五郎、大竹しのぶ、阿部サダヲという異色の顔合わせが実現!!また、市川実和子、浅野和之、荒川良々、池津祥子などジャンルを超えた魅力の刺激的なキャストがそろいました。この夏、一番刺激的な舞台が渋谷に!どうぞご期待ください。


タイトル:『女教師は二度抱かれた』

作・演出: 松尾スズキ
出演: 市川染五郎、大竹しのぶ、阿部サダヲ、市川実和子、荒川良々、池津祥子、皆川猿時、
    村杉蝉之介、宍戸美和公、平岩 紙、星野 源、少路勇介、菅原永二、ノゾエ征爾、
    浅野和之、松尾スズキ

会期: 2008年8月4日(月)〜27日(水) 
会場: Bunkamuraシアターコクーン 
チケット一般発売日: 2008年6月8日(日)


それにしても「大人計画」とは、染ちゃん やってくれますね。
メルマガにも紹介されている『ニンゲン御破産』は勘九郎時代の勘三郎さん主演でしたが、歌舞伎以外のお芝居でいつも私たちを驚かせてくれるのは、やっぱり勘三郎さんと染五郎さんです。

前回は染ちゃんのホームグラウンド(?) “新感染”で共演した阿部サダヲさんと、今度はサダヲさんのホームに乗り込む、っていうのも楽しみです。
まして、松尾スズキさんが染ちゃんにどんなお芝居をつけてくれるのか、本当に楽しみ。

それにしても8月。
大阪では新感線の『五右衛門ロック』公演中。
歌舞伎座は『納涼歌舞伎』ですね。
何だか忙しく、熱い夏になりそうな気配です。


そしてもちろんチケット争奪の心配もつきもののごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 316 わーい(嬉しい顔) vs 317 ふらふら)
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2008年03月18日

大阪の夜はどこへ

間もなく新感線FCの先行受付も始まる『五右衛門ロック』大阪公演ですが、発表されているスケジュールでは、全20ステージ中、ソワレは7ステージとやたら少ないです。
特に真ん中の週(8/11〜)なんて、平日のソワレは8/13(水)だけなんですけど。日曜日はすべて1回公演だし、チケット争奪線ますます激化必至だなぁと思っていたところ・・・

dogen.jpg少し日程がかぶる『道元の冒険』も、1週間の公演期間中、ソワレがあるのは金・土の2日間のみ。これってどういうこと?

いくら大阪の夏が暑いからって、いや、暑いからこそ夜公演をオススメしたいところですが。



仕事を持つ者は平日に観に来なくてもよろしいってことかしらの地獄度 ふらふら ふらふら (total 310 わーい(嬉しい顔) vs 308 ふらふら)
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2008年03月15日

劇団ふたり

futari.jpg中井貴一と段田安則が不定期に公演するユニットを「劇団ふたり」って言うらしいです。その第2回公演は、二人に初舞台のりょうが加わった『二人の約束』

二人の約束 〜The Two Men's Promise〜
作・演出: 福島三郎
出演: 中井貴一 段田安則 りょう

3月2日(日) 2:00pm シアターBRAVA! 1階Q列下手


大人のファンタジーとでもいいましょうか。
あははと笑って、ふぅ〜んとしんみりして、最後にはホロリと涙するような、ハートウォーミングでちょっぴり切ない男たちのストーリー。

基本的に悪意とか邪気の部分のないドラマはあまり好みではありません。
・・・というと語弊があるかもしれませんが、いい人しか出て来ないお芝居って、ドラマとしての深みに欠けるというか、ほら、すいかだってちょっとお塩をかけた方が甘味が増すっていうでしょ?(あれ?例えが違ってるかな)
でもこのお芝居は好きだったな。
観終わった後、自分が優しくなれる気がして。

40代で独身で、怪しげな古物商を営んでいて、ちょっとお調子者ふうだけれど、実は30年前に初恋の女の子と交わした約束をずっと守ろうとしているピュアな心の持ち主小太郎(中井貴一)と、その小太郎の家をのぞこうとしていて塀から落ちて一時的に記憶をなくし、そのまま小太郎の家に居候することになったどこか陰を持つ大作(段田安則)。
この二人のやり取りが、ほんとに息があっていて自然で、しかも楽しんでやっている感じが見て取れて、こちらまで心地よくなります。二人とも演技派なのですが、多分演技的に異質ではないので、観ていて違和感がありません。普段からこんな調子の会話なんじゃないの?と思っちゃう。

記憶が戻った後、再び訪ねてきた大作がことの成行きを語る場面は、たぶんそんなことだろうな、とわかっていてもじーんときます。段田安則の真骨頂、いつもながら見せてくれます。
そしてその大作に、「一緒に掘ってくれませんかね?タイムカプセル」と自分の落胆を隠して話しかける小太郎。声に仕草に、やさしさがにじみ出ていました。中井貴一、ほんとに上手いです。

中井貴一も段田安則も演技力は折り紙つきですが、その二人が丁々発止“火花を散らす”という感じではなく、お互いを認め合ってリラックスして演じているという雰囲気がこのお芝居全体をやさしく包み込み、観ている私たちにまで伝わって心地よくやさしい気分になれるようでした。

位置情報 千秋楽でしたが、特別なご挨拶はナシ。カーテンコールの時に上手下手からしゃぼん玉がたくさん出てきて、それがこのお芝居の雰囲気にとてもよく合っていて目にも心にもhappyでした。

位置情報 小太郎の古道具にまつわるエピソードの中では「独眼竜政宗の目」の話がおもしろかったな。あ、亡くなった人の声が聞ける金のカエルはぜひほしいけど。

位置情報このお芝居を観ようと思ったきっかけは、「夕日に赤いママの顔」のかずりんさんが、前作『二人の噺』のことを「すごくおもしろかった!!」とほんとにおもしろそうにおっしゃっていたから。
それがご縁でこの日劇場でご一緒して、終演後は日曜日でほとんど人のいない新地に繰り出しました。食べて飲んで(飲むのはほぼ私ひとりなのだけど)、あれやこれやとエンタメ話で盛り上がる・・・楽しい時間をありがとうございました。


『噂の男』 『かぶき座の怪人』 『小市民ケーン』・・・福島三郎ってほんと、幅広いよね〜のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 310 わーい(嬉しい顔) vs 304 ふらふら)
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2008年03月14日

燃えましたぁ

49nichi.jpgなるし〜×ふるちん共演で話題の『49日後・・・』

昨日は梅田芸術劇場ネット会員先行予約日だったのですが、珍しく“ネット先着順先行”でした。

日頃は温厚な(?)私も、“ネット先着順”だと苦手なのにもかかわらずなぜか闘争本能に火がつきますパンチ
以前『吉原御免状』の追加席がネット先着順で発売になった時もこんなふう

この公演大阪で観るなら大楽(5/25)以外に考えられないと思っていたのですが、e+の先行ではすでにハズレてがっくしきていたところへ、大楽夜の部(18:00)が追加公演になっているのを前日に教えてもらって、俄然リキ入って燃えました。
朝からハイテンションで万全の体制で臨み、「ただ今アクセスが集中しており・・・」っていうメッセージも何のその、あんなにシミュレーションしたのにID誤入力してアセったりあせあせ(飛び散る汗)した結果・・・

無事ゲット手(チョキ) ありがとうございました〜。


しかも7列目!のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 309 わーい(嬉しい顔) vs 304 ふらふら)
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2008年03月08日

舞台のチカラ

藤原竜也に目覚めたのが「天保十二年のシェイクスピア」からと遅かったため、彼を世に出したこの『身毒丸』を観るのは初めて。原作も読んだことなくて、舞台観る前にDVDで予習するタイプの人間でもなく、全く初見でした。

身毒丸 復活

作: 寺山修司/岸田理生
演出: 蜷川幸雄
出演: 藤原竜也 白石加代子 品川徹 ほか

2月27日(水) 7:00pm シアター・ドラマシティ 9列下手


「母札なら、僕が持っている」
「聴こえないこだま」「ひとり聴くこだま」
「ともに聴く人のいないこだま」「ともに聴く人のいないこだま」
「うしろから聴こえるこだま」「うしろから聴こえるこだま」
“家族4人”で家族合わせをする中、身毒丸だけが抜け出し、舞台の上と下に分かれた撫子とのセリフの掛けあいを聴いただけで、「このお芝居好き!」と思いました。

幼くして母を亡くした身毒丸(藤原竜也)と、家とはこうあるべきと考える父(品川徹)によって母として買い与えられた撫子(白石加代子)との、宿命ともいえる出逢いと愛憎を、独特の耽美な世界観で描いた作品。観終わって最初に思ったことは、15歳の藤原竜也−秩父から出てきて池袋でスカウトされた演技なんて全く経験のないサッカー少年だった−がよくぞこの役を初役で勤めたということ。それも大絶賛で。そして願わくば、その竜也少年の演じる身毒丸を観たかった、ということでした。

母と女の間で揺れ動く撫子の心の葛藤が、亡き母を慕って自分を拒絶しつづける身毒丸に対して情念の憎悪となって噴出していく様は、白石加代子の鬼気迫る演技とも相まって、目にも心にもすごいパワーで迫ってきます。たぶん出逢った最初から身毒丸を男として意識していたであろう撫子に対して身毒丸は?・・・これもあの見世物小屋で目が合った瞬間、撫子が髪を下ろした瞬間に恋に落ちたように感じられました。おそらく身毒丸にとっては初めての感情で、自分で自分の想いを持て余し、「亡母への恋慕」に無意識に逃避したのではなかったか・・・と考えながら、これはもしかして今の藤原竜也が醸し出す雰囲気がそう感じさせるのではないかとふと思いました。15歳の竜也少年演じる身毒丸を観たら、また違った印象を受けたのではなかったかと。

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2008年03月07日

「アボカド」

fukikoshi.jpgいや〜、楽しかったぁ。やっぱフキコシ、サイコー!!

フキコシ・ソロ・アクト・ライブ 『(タイトル未定)』
〜(注)このライブのタイトルは(タイトル未定)です。〜

作・構成・演出・出演: 吹越満
3月5日(水) 7:00pm シアター・ドラマシティ 1列センター


冒頭、「タイトル未定だと何かと都合が悪いので、この場でタイトルを決めます。」ということで、観客を指名して好きな食べ物を尋ね、『アボカド』 『たまごかけごはん』の中からフキコシが「今日はアボカドにします」と宣言してライブのスタート。スタンディングミラーに『アボカド』と手書きしたものがスクリーンに映し出されクレジットとなります。この時決まった『アボカド』はパフォーマンスの中でもネタとして登場するし、終演時のエンドロールでもちゃんとタイトルとして映し出された上に、冒頭の会話でフキコシが何気に「お名前は?」と尋ねた観客の方のお名前も「タイトルをつけてくれた人 ○○さん」と併せてクレジットされました。

フキコシの創り出す笑いは、どれもとても手が込んでいて、こだわりがあって、意外性に富んでいて、しかもシュールでおしゃれ。作家としての卓越したセンスを感じます。また、それをパフォーマンスとして見せる高い演技力と身体能力を持った表現者でもあるのです。

『仕草の装飾品を売る店(“久しぶりスケール”とか爆笑)』や、映画のタイトルが一字抜け落ちたら、を表現する『不完全なタイトル』(「積木くずし」→「積木ずし」など)、『過去最多の登場人物(40人以上かな?)の一人芝居』・・・とハイクォリティでバラエティ溢れるパフォーマンスの数々。中でも今回一番のお気に入りは、♪白鳥の湖のフルオーケストラに合わせてバレエの振りでうす汚れたアパートの一室を片付けていくというもの。三次元CG映像?で映し出される部屋がどんどんキレイになっていく様は感動的ですらありました。ちゃんと下ネタも盛り込んであってねわーい(嬉しい顔)

そして最後は、「舞台の上で死ねたら本望、と言う役者さんがいますが、僕はそうは思えない。でもずっと役者をやってきて、一度は命をかけて取り組もうじゃないかと…」という前説で始まった『命がけの芝居』。客席中「ひゃあ〜」とハラハラドキドキ見守りました。

アンコールのボツネタコーナーは「大阪でやるのはちょっと緊張する」とおっしゃっていた『シザーハンズ』・・・確かに関西弁のイントネーションはちょっと怪しかったけど、思い切り笑わせていただきました。

きっとこれを読んでもおもしろさは伝わらないですね。
フキコシ・ソロ・アクトの魅力を文字で伝えるのは難しいです。
「時間の都合でチラシに載らなかったけど、3月17日に札幌公演決まっています。ここにいらっしゃる皆さんはもちろん来てくださるでしょうが、ダメな場合でもお知り合いにすすめてください」とおっしゃっていました。札幌および近辺にお住まいの皆さま、ぜひ一度お運びを。決して損はさせませんひらめき

2006年12月の「ソロ・アクト」
2005年8月の「ソロ・アクト」


fukikoshi2.jpg残念ながら札幌には行けないのでグッズの売上げに協力しました
のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 306 わーい(嬉しい顔) vs 302 ふらふら)
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2008年02月28日

お前の名はグロスター

第2幕はほとんど泣き通しのような状態だったのですが、中でも一番胸に突き刺さったセリフがこれです。権力を握った二人の娘の冷徹な豹変ぶりに憤怒し荒野へと出奔した末に狂気へと蝕まれていくリア王と、リーガン夫妻に目を抉り取られ盲目となって、長男のエドガーに手を引かれて荒野を行くグロスター伯爵が再会するシーン。

二人で語り合いながら狂気のため視点が宙を彷徨い会話もかみ合わない主君リア王に、両目をおおう包帯を自らはずし顔を見せるグロスター。それと気づかず、自分の世界の中の会話をつづけるりア王が、ふとグロスターを見やり、
「お前が誰かは知っている・・・お前の名はグロスター」
その言葉を聞き、今はもうなくなってしまった目を見開くようにリア王に向けて言葉なく慟哭するグロスター。
そりゃ泣きますよ、こんなシーン見せられたら。

彩の国シェイクスピア・シリーズ第19弾 「リア王」

作: ウィリアム・シェイクスピア
演出: 蜷川幸雄
翻訳: 松岡和子
出演: リア王 平 幹二朗/コーディリア 内山理名/リーガン とよた真帆/
    ゴネリル 銀粉蝶/エドマンド 池内博之/エドガー 高橋洋/道化 山崎一/
    グロスター伯爵 吉田鋼太郎/ケント伯爵 瑳川哲朗 ほか

2月23日(土) 6:30pm シアター・ドラマシティ 12列下手


平幹二朗のリア王は、登場から私たちの目を惹きつけて離しません。存在感とかオーラとか、何と表現すればよいのでしょう。まわりのすべてを巻き込む磁力のようなものを感じます。どんなに落ちぶれても狂気の淵を彷徨っても、ケント伯爵をはじめとする家臣たちが敬愛してやまないのも納得の、王としての威厳と風格。この平リア王の前では、吉田鋼太郎も瑳川哲朗さえ華奢に感じるから不思議。一方で老人特有の頑なさや繊細さ、孤独や死への恐怖、そして狂気−およそ人間が持つであろう様々な心情を全身全霊で表現しているかのようでした。180cmの体躯を終始腰を折り、前かがみになって老体を表わし、時には空を彷徨い、ある時はカッと見開き、怒り、嘆き、悲しむ目。そして一つひとつ胸に響くセリフ。超一流の役者の入魂の演技はこれほど観る者の心を捉えることを今さらながら思い知りました。

3人の娘たちに銀粉蝶、とよた真帆、内山理名が扮しています。二人の姉はヒール役の迫力十分で色っぽくもあって悪女ながら魅力的です。コーディリアの内山理名は、「オセロー」の蒼井優ほどにはキャスティングに必然性を感じませんが、思ったほど悪くなかった。セリフが硬い感じですが、これは、「老いや死への恐怖心を抱いている老人にはやさしい言葉も必要、という想像力が欠如している若さの傲慢、頑なさをコーディリアに感じるようになった」と蜷川さんが語っていらしたので、彼女の演技力云々よりも演出なのかもしれません。

そしてもう一方のストーリー グロスター伯爵家。これがまたすばらしい。
私生児で次男であるために、凄まじいまでの怒りと妬み、執念で父を欺き、兄を追い落とし、リア王の二人の娘までも利用して出世の階段を上りつめていく池内博之のエドマンドが強烈な印象。以前テレビドラマでゲイの役をやっていたときも上手いな、と思いましたが、こんな色悪もぴったり。キラキラ光る強い瞳に青い炎が燃えているようでした。
エドガーの高橋洋は“乞食のトム”に扮した2幕の登場は目を見張りましたが、1幕でのメガネをかけた知的でいかにも育ちのよいエドガー、父を思いながら自分の正体を明かせず苦悩するエドガー、エドマンドときりりと対峙するエドガー・・・曲折のあるエドガーを変幻自在に体現していました。初舞台から10年、これまで蜷川さん演出の舞台以外には出演されたことがないそうですが、今年は新たな展開も期待できそうです。

余裕たっぷりに愛人の自慢話を披露しながら登場する吉田鋼太郎のグロスターは、その愛人との子であるエドマンドに翻弄され悲劇の道を辿ります。光を失い、死ぬことだけを考えドーバーを目指しますが、同道するエドガーに励まされ、生という運命を受け容れるようになります。この、エドガーが自分が息子だと名乗らず目が見えなくなった父の手をひいて荒野を彷徨するシーンは切なく哀しく、そしてなぜか美しく感じました。やがて真実を知ったグロスターは、息子が生きていた歓喜と驚愕の中で死を迎えたことがエドガーによって語られますが、できればこのシーンも観てみたかったです。

人間の限りない欲望や愛憎、嫉妬、業、そして誰も逃れることのできない老い・・・何百年の時を経てなお私たちの目に心に、鮮やかに感じとれる物語−シェイクスピアの描く世界の普遍性を改めて感じた舞台でもありました。

位置情報 騎士の中にいてもついつい目がいっちゃう横田栄司。ラストのリア王が死ぬシーンでは斜め後ろに控えて本当に悲しそうな顔してたなぁ。

位置情報 リーガン役のとよた真帆さんは以前ある会合でご一緒させていただいたことがあります。まるで大輪の薔薇のように華やかで美しく、そしてたおやかなステキな女性でした。それがあのリーガンですからね。やっぱり女優さんは魔物です(笑)。

位置情報 この日は幕間に「風知草」のとみさん「どら猫の猫集会」のどら猫さんに偶然お目にかかり、短い時間ですが「リア王」談義を聞かせていただきました。思いがけないことでとてもうれしかったです。ありがとうございました。


リア、私から目を逸らさず、私を通してもっとよく見るのです。のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 304 わーい(嬉しい顔) vs 300 ふらふら)
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2008年02月25日

咲く花を見ていればよかった

IMG_3229.jpg坂本龍馬と岡田以蔵は、ともに土佐藩の下級武士の出身で、同じ時代を生き、志半ばで若くして非業の死を遂げるという同じ運命を辿っていますが、まるで歴史の明と暗−坂本龍馬が幕末から明治維新を颯爽と駆け抜け、今なお敬愛され続けるヒーローであるのに対し、「人斬り以蔵」と呼ばれ、暗殺を生業としたダークでアンチなイメージの岡田以蔵−28歳でこの世を去ったそんな岡田以蔵を、28歳の森田剛が鮮烈に演じたいのうえ歌舞伎。

劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎☆號「IZO」

2月18日(月) 6:00pm シアターBRAVA! 1階U列下手

作: 青木豪     
演出: いのうえひでのり
出演: 森田剛 戸田恵梨香 田辺誠一 千葉哲也 池田鉄洋 山内圭哉 木場勝己 
    西岡徳馬 粟根まこと 中谷さとみ ほか


無口でクール・・・これまで描いていたイメージとは全く別の以蔵でした。
混沌とした幕末の時代、「天誅」の名の下、殺し屋として暗躍し、畏れられ、そして疎まれ蔑まれた以蔵。森田剛の以蔵はとにかくひたむきに、立ち止まることなく叫び、走り、斬り、何かを求めつづけていました。甘え、拗ね、怒り、妬んだ−その全身全霊の叫びが、ひりひりと痛く、見ていて辛い。ただひたすら武市半平太を慕い、自分にとっての「天」と信じた以蔵が最後に見つけた答え、それは「天は動く」ということ。「犬に扱われれば人になりたがり、人になったら武士になりたがった−ただそこにあるだけの山を見上げて、咲く花を見ていればよかった」と独白する以蔵の背にふりそそぐ黄色いまんさくの花・・・切ないくらいに哀しく美しいラストシーンでした。

心配になっちゃうくらい痩せている森田剛は、それが却って精悍で荒んだ以蔵のイメージに重なり、想像以上にハマっていました。「荒神」の時にも感じましたが、とても身体能力が高く、スピーディでキレのよい動きや殺陣はカッコいい。その表情からは以蔵の焦燥感や絶望感、孤独な心が感じ取られ、いのうえさんではないけれど「ジャニーズ侮りがたし」です。願わくば古田新太や橋本じゅんとがっぷり組んだ新感線の舞台で森田剛をもう一度観てみたい。

池田鉄洋の龍馬も山内圭哉の田中新兵衛もよかったけれど、一番印象に残ったのは粟根まことの勝海舟。べらんめぇ調のセリフも決まって、勝海舟という人物の度量の大きさや賢明さ、ちょっと変わり者ぶりがすごくよく出ていて、短い出番ながら影の当り役ではないかしら。

2004年の『アカドクロ』『アオドクロ』連続上演の後、いのうえ歌舞伎は第2章に入り、より人間ドラマを掘り下げる方向へシフトして、その第1作が笑わない橋本じゅん(柳生宗冬役)に象徴される、笑いやギャグをできるだけ排した『吉原御免状』で、明らかにその変化を感じたものでした。
そういう意味では、ちょうど1年前の今日千秋楽を迎えた『朧の森に棲む鬼』より、今回の『IZO』の方が第2章のコンセプトをより反映しているように感じます。

ただし、映像を多用した演出には一言あり、です。
シルエットを上手く使っている場面もありましたが、時の流れや事件の経緯を文字(字幕)で説明するというのは、舞台の演出としていかがなものか。確かに“八月十八日の政変”をきっかけに尊皇攘夷派の立場がドラスティックに反転するあたりはややこしいけれど盛り込まなければならないサイドストーリーで、演出家泣かせではありますが、私たちは映画を観に来た訳でもケータイ小説を読みに来た訳でもありません。わかりやすく、という意図は理解できますが、観る側のイマジネーションも信じてほしい。石部宿の暗殺の場面の階段の回り舞台はすごくカッコよかったし、ラストのまんさくの花が散りゆく様は涙出るくらい美しく、ああ、舞台っていいなって思えた・・・舞台ってこうでしょ?・・・ここのところ、一度いのうえさんとじっくり話したいです(笑)。

位置情報 そういえば、むかーしTVでやってた三谷幸喜脚本のドラマ『竜馬におまかせ!』 今から思えば武市半平太役ってなるし〜だったなぁ。(ちなみに主役の竜馬はダウンタウンの浜ちゃんで、以蔵は反町隆史でした。)


ラスト近く流れるメロディに、え〜っ、何この歌〜?と思ったのに泣けてきたよのごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 303 わーい(嬉しい顔) vs 300 ふらふら)
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2008年02月14日

演出家としての加納幸和さん

以前にもご紹介した大原薫さんが、花組芝居の加納幸和さんへの、とても読み応えのあるインタビューをアップされていて、そちらのBBSに書き込みをしたところ、うれしいことに加納さんご自身がお返事を書き込んでくださったのでご紹介したいと思います。

加納幸和さんへのインタビュー → 加納幸和さんに聞く『KANADEHON忠臣蔵』

BBS → 新・ご記帳所

役者さんとしてのみならず、演出家としての醍醐味もたっぷり語ってくださった加納さん。
今秋の『牡丹灯籠』、ますます楽しみになってきました。


篠井英介さんとご共演の『サド侯爵夫人』(スズカツ演出)も観た〜いのごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 299 わーい(嬉しい顔) vs 297 ふらふら)
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2008年02月11日

Piperが今年も

piper2.jpgPiper結成10周年記念公演第2弾が発表されていました。
『やっほー』ではなかったけれどわーい(嬉しい顔)

Piper 10周年記念公演第2弾
『ベントラー・ベントラー・ベントラー』

『スプーキー・ハウス』『ひーはー』に続くシリーズ三本目!
ウソと勘違いが織り成す説明不能のバカ・フェスタ2008
開催決定!

出演: Piper (川下大洋・後藤ひろひと・山内圭哉・竹下宏太郎・
腹筋善之介)/楠見薫/平田敦子/平山あや/松尾貴史


2008年10月 全労済ホール/スペース・ゼロでの公演の後、
うれしいことに福岡・名古屋・広島・大阪・仙台公演が予定されているそうです。

昨年『ひーはー』を観た時、カーテンコールで善之介さんが「次は・・・来年!」って言ってたのは本当だったみたいです。


しかも共演は松尾貴史って、これまた楽しみ〜のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 298 わーい(嬉しい顔) vs 297 ふらふら)
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2008年01月30日

「かもめ」が大阪でも

BRAVA!Clubマガジンからのうれしいお知らせひらめき

速報  藤原竜也×鹿賀丈史出演 「かもめ」 7月中旬上演決定!

チェーホフの4大戯曲の中でも最高傑作と名高い「かもめ」を 豪華オールスター・キャストで上演が決定しました。

7月中旬 シアターBRAVA!

作:ア ントン・チェーホフ 
演出: 栗山民也
出演: 藤原竜也 鹿賀丈史 美波 小島聖 藤木孝 藤田弓子 たかお鷹 勝部演之 麻実れい ほか

赤坂ACTシアターでの公演が6/20〜7/12なので、その後すぐ大阪ってことになりますね。
楽しみです。


「かもめ」はOKグッド(上向き矢印) 「私生活」はどうなの?のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 294 わーい(嬉しい顔) vs 294 ふらふら)
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2008年01月15日

大沢たかお as ファントム

Phantom.jpg

ひとつの公演が成功した瞬間に立ち会えるのはとても幸運でハッピーで感動的でした。
初演の初日。万雷の拍手とスタンディングオーベーションに迎えられたタイトルロール 大沢たかお。これが初めてのミュージカル挑戦です。

ミュージカル「ファントム」
1月13日(日) 3:00pm 梅田芸術劇場メインホール 1階7列上手

原作: ガストン・ルルー 「オペラ座の怪人」
脚本: アーサー・コピット   作詞・作曲: モーリー・イェストン
上演台本・演出: 鈴木勝秀
出演: 大沢たかお 徳永えり ルカス・ペルマン/パク・トンハ HISATO 中村まこと 大西ユカリ 伊藤ヨタロウ 姿月あさと(映像) ほか


−ファントムは怪人ではありません。人間です−とサブタイトルがつけられているように、この『ファントム』は、アンドリュー・ロイド=ウェバー版『オペラ座の怪人』とは別の観点から、ファントムの人間的な面に焦点をおいたミュージカルです。特に今作は、エリック(ファントム)の繊細な性格や生い立ち、親子の情愛などにもスポットをあて、心に響くドラマに仕上がっています。

大沢たかおのファントムは、歌唱の面では、正直に言ってここで聴きたい、という時に声が足らないという印象は否めません。これが市村正親だったら、山口祐一郎だったら(古い例えで申し訳ありません。観たことのあるファントムがこの二人だけなので)とも思いましたが、彼らと比べるのは酷というもの。むしろ、まったくのビギナーが数ヵ月のレッスンでここまで歌えるようになったことは賞賛に値するのではないかしら。そして、それを補って余りある表現力。エリック=ファントムの二面性、苦悩や傷心、屈折、葛藤、苛立ち、愛を求める一途で純粋な心などが痛いくらいに伝わってきます。自分が父であることを名乗ったキャリエール(伊藤ヨタロウ)とともに歌う♪You Are My Own は情感あふれるヴォーカルでした。クライマックス。追い詰められてロープに宙吊りになったエリックがキャリエールに「助けてくれ。どうすればいいかわかってるだろう?」と自分を撃つことを求める場面では、こらえきれず涙 たらーっ(汗)

演出のスズカツさんや映像出演の姿月あさと(エリックの母ベラドーヴァ)も加わったカーテンコール。仮面をはずし輝くばかりの笑顔で登場したカッコいい大沢たかお。その顔にはひとつのことを全力でやり遂げた充実感や満足感があふれていました。
yukari.jpg

“新世界の花”大西ユカリ姉さんだって出てますのごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 289 わーい(嬉しい顔) vs 290 ふらふら)
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2008年01月10日

キタっ!!

special.jpg「お帰りなさい。ライ」ってカンジですハートたち(複数ハート)

早く観たい。
でも観始めると一気に観たい。
やっぱり週末までガマン・・・できるかな?
あ、コーフンして書き忘れました。
キタのは「朧の森に棲む鬼」のDVDです。

これは Special Edition のディスク。カメラ目線でカッコイイ ムード


film.jpg予約特典のフィルムは先着5,000名から10,000名に増えていました。
全員もらえるってことですよね。

私に届いたのはこちら。
森に浮かび上がる「朧の森に棲む鬼」のタイトルバックでした。
3人の朧たちの歌が聴こえてきそうです。


これから何回観ることになるのやらのごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 287 わーい(嬉しい顔) vs 289 ふらふら)
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2008年01月09日

美しき松井誠の新たなる挑戦

medea.jpg兵庫県立芸術文化センターからのDMの中に、美しいご婦人の描かれたフライヤーを発見。どなたかと思いきや・・・。

美しき松井誠の新たなる挑戦
ギリシャ悲劇が生んだ、演劇史上最高の悪女!
「王女メディア」

5月10日(土)・11日(日) 
兵庫県立芸術文化センター 中ホール

まぁ! 
ちっとも知りませんでした。
誠さんってば、ついこの前まで「風林火山」の北条氏康で見せていた凛々しいお姿とは打って変わったこの艶姿ぴかぴか(新しい)

しかも演出は栗田芳宏さん。
うわぁ。「シラノ・ド・ベルジュラック」すごくよかったものなぁ。
そうそう、「Song & Dance HAMLET」もよかったな。
さらに美術は朝倉摂さん。
これは観に行ってしまいそうな予感です。

「王女メディア」って観たことないのですが、以前、蜷川幸雄さんの演出で平幹二朗さん(「篤姫」で久しぶりに時代劇に出演されているのを見ました。存在感群を抜いていました。)が演じていらした記憶がありますが、男性向きのタイトルロールなのでしょうか。いや、確か大竹しのぶさんもやってらっしゃいましたね。


しかもA席5,000円 B席3,000円ってお得じゃない?のごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 286 わーい(嬉しい顔) vs 289 ふらふら)
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2008年01月07日

行くあてなき解放

beauty.jpg開幕前。
緞帳には、何やら風景画のようなものと、May you be half an hour in Heaven afore the Devil knows you're dead. (悪魔に死を気づかれるより30分でも早く天国の一員となれますように)という文字。幕が開くとこれがそのまま額に入れられ、部屋の壁にかけられています。物語の舞台となったリナーンの観光みやげの代表であるリネン・タオルで、この言葉がこれから舞台上で繰り広げられる悪意と死を暗示しているということのようです。

ビューティ・クイーン・オブ・リナーン」
1月5日(土) 1:00pm シタター・ドラマシティ 11列上手

作: マーティン・マクドナー  訳: 目黒 条    演出: 長塚圭史
出演: 大竹しのぶ 白石加代子 田中哲司 長塚圭史


“剥き出しの感情と矛盾がぶつかり合う母娘を鋭く抉り描く”というお芝居は観るのにいささかたじろぎます。それでも観てみたいと思ったのは、その母娘を演じるのが白石加代子と大竹しのぶの二人だから。期待に違わぬ緊張感と迫力に満ちた舞台でした。

タイトルの The Beauty Queen of Leenane (リナーンで一番の美女)は、かつてそう呼ばれたこの物語の主人公モーリーン(大竹しぶ)。40歳で未婚で、北アイルランドの田舎町リナーンの丘の上の一軒家に母マグ(白石加代子)と二人で暮らしています。母は年老いて病身で利己的でわがままで、身の回りの世話をすべて娘に押し付けていますが、娘もただ母の言いなりになってはおらず、時には言葉の暴力で、ある時は意地悪な行動で母とバトルを繰り広げています。そんな二人の関係に変化が生じたのは、ある夜のパーティでモーリーンが近所に住むパト(田中哲司)と再会してから・・・。

ディテールまで作り込んだ舞台装置が目をひきます。乱雑なキッチン、汚れたタイル、磨かれず曇った窓ガラス、マグの汚れた部屋履き・・・これらのものが二人の心の荒廃と逃がれようのない閉塞感を表わしているかのようでした。自分の世話をしてもらいたいがために娘に執着する母、その母に縛りつけられた牢獄のような閉鎖的な生活からの解放を願う娘。この母娘の本音をぶつけ合うやり取りは、時にはブラックなユーモアをまじえながらも、どこまでも陰鬱で先が見えず救いがありません。そんな殺伐とした状況の中、モーリーンの前に現れたパト。パトは一見真面目な好青年で(40歳なのでもはや青年ではなく、冷静に考えれば優柔不断な女好きのようにも見えますが)、モーリーンにとって唯一にして最後の希望のように思えたとしても無理からぬことでした。

そのパトからの手紙を盗み読みして燃やしてしまったマグを問い詰めるモーリーン・・・自分でも気づかぬくらいひたひたと狂気へと堕ちていくモーリーンの悲痛なほどのいたましさは、観ていて息苦しくなるくらいです。パトと一緒にアメリカに行くことを夢見て、壮絶な憎悪の末に母をなきものにして解放を手に入れたはずのモーリーン。その彼女を覆う救いようのない孤独感、絶望感と拭いきれない母の影。「あんた、お母さんそっくりだよ。」とレイ(長塚圭史)に言われ、返す言葉もなく母がいつも座っていたロッキングチェアに揺られるモーリーン。その目は何を、どんな未来を見つめていたのでしょう。


演技は超一流、だけど戯曲のテーマは苦手のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 285 わーい(嬉しい顔) vs 288 ふらふら)
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2007年12月31日

今年も締めは「ア・ラ・カルト」

alacarte07.jpg

2007年もエンタメ納めは「ア・ラ・カルト」でした。

ア・ラ・カルト〜役者と音楽家のいるレストラン
12月29日(土) 6:30pm 大阪ビジネスパーク円形ホール Bブロック1列

出演: 高泉淳子 白井晃 陰山泰 + 筒井道隆(visitor)
    中西俊博(violin) クリス・シルバースタイン(bass) 竹中俊二(guitar) 林正樹(piano)
演出: 吉澤耕一  構成: 白井晃  台本: 高泉淳子  音楽監督: 中西俊博


今年19年目を迎えた「ア・ラ・カルト」。
舞台はとあるレストラン。その開店から閉店までをアペリティフ・メインディッシュ・ワイン・デザート・・・とメニューに沿ったショートショートのお芝居と生演奏の音楽でつづっていきす。構成はほぼ毎年同じで、結婚5年目を迎えた高橋くん(高泉淳子)とのり子さん(白井晃)夫妻など、毎年おなじみのキャラクターも健在です。

今年のゲストは筒井道隆。初めてだったのですが、映像で見るイメージそのままの素朴でシャイな雰囲気。コピーライターを辞めて実家のそば屋を継ごうとしているタカちゃんとして登場。10歳年上の幼なじみジャミちゃん(高泉淳子)相手にさり気ないラブストーリーを繰り広げてくれました。ショータイムではるんるんFly Me To The Moon を披露してくれたのですが、決してお上手とは言えないながら、人柄が表われるような誠実で朴訥とした歌はとてもかわいらしく好感がもてました。

そのショータイムでペギー富岡(白井晃)が言った「人生ってほんとに苦しくて辛くて辛くて苦しくて、苦しくて苦しくて苦しくて・・・」に笑ってしまいました。ほんとにその通りなんだもん。
高泉淳子のボーカルとともに3人の男性が唄い踊った "Dans la maison sur le port" では激しいダンスが終わった瞬間、「VICTORY!!」。アンコールのハンドベル演奏 "When You Wish Upon A Star" でも、上手くキマッた瞬間シルバースタインが「VICTORY!!」って、ビリー隊長なみに叫んでいました。

ラストダンスで毎回登場する老夫婦。昨年と同じパターンなのですが、今年は高泉淳子扮する老婦人が不自由な動きで夫(白井晃)の頬に手のひらを押し当てる仕草にじーんときて涙がこぼれました。毎年言っていますが、高泉淳子の衣装はどれもほんとうにおしゃれでかわいい。ご本人の着こなしのセンスもさることながら、衣装デザイン出川淳子さんに興味シンシンです。

ほろ苦い男女の関係もあったりして、すべてのシーンがハッピーという訳ではないのだけれど、どの登場人物にも温かい視線が注がれていて、それが観る者にも伝わりハートウォーミングな気分になって客席はみんな笑顔。この舞台で1年を締めくくることができるのはほんとうに幸せなことだと感じました。


さて、2007年のエントリもこれでおしまい。
今年もたくさんのごくらくに出会い、そして地獄も味わいました。
特に後半は仕事と研修に追われて更新もままならない状況でしたが、見放すことなく拙いブログにおつき合いいただいた皆さま、心から感謝申しあげます。どうもありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

どうぞよいお年をお迎えくださいませ。


ありがとう2007年!の感謝の気持ち・・・Countless!!
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2007年12月31日

小栗旬の「カリギュラ」

shun.jpg12月11日 大楽。大阪の夜空に月はなかったと聞きます。
カリギュラが持ち去ってしまったのでしょうか。

「カリギュラ」 
12月8日(土) 6:00pm シアターBRAVA! 1階H列上手

原作: アルベール・カミュ  翻訳: 岩切正一郎  演出: 蜷川幸雄
出演: 小栗 旬 勝地涼 長谷川博己 横田栄司 月川悠貴 若村麻由美 ほか


今年、いろんな意味でとても印象に残った舞台のひとつ「カリギュラ」。
結局感想はアップできないままになってしまいましたが。

役者は舞台で輝きを放ってこそ、と思っている方なので、プロモーション目的のメイクアップ特番やTV出演は基本的に好きではありません。そんな私でも、公演初日と相前後して放映された「情熱大陸」は観ていて胸が熱くなりました。何が彼をそんなに駆り立てるのだろう、どうしてそこまで自分を追い詰めるのだろう・・・。

舞台を観てもその答えは見つかりませんでした。ただ、あの状況、あのギリギリの精神状態でここまで役をつくり上げた精神力と力量に改めて小栗旬の可能性を知る思い。若村麻由美がプログラムのインタビューで、『今、彼がやるべくしてやる役』と語っていますが、まさに言い得ていると思いました。もちろん、舞台は主演役者ひとりの力だけに負うものではなく、その作品にかかわるすべての人・力の発露の成果ということは承知しています。それでも、いつかこのお芝居が再演されたり、他の役者さんで上演されたりすることがあっても、「『カリギュラ』って小栗旬だったよね。小栗旬が24歳の時、『カリギュラ』をやったよね。」と、きっと思い起こすに違いありません。

位置情報 お芝居で印象に残ったシーンをちょこっとだけ。
最初にカリギュラがボロボロになって登場するシーンでのエリコン(横田栄司)の「やぁ」という声の限りなくやさしい響き。カリギュラに殺されるまさにその刹那、かすかに微笑んだように見えたセゾニア(若村麻由美)の哀切。


それでもやっぱりカミュは苦手のごくらく地獄度 わーい(嬉しい顔) ふらふら (total 282 わーい(嬉しい顔) vs 286 ふらふら)
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2007年12月30日

沈む客席

zatoichi.jpg開演時間ギリギリに会場入りして、まず驚いたのはガラガラの客席でした。1階は半分も埋まってなかったのではないかなぁ?あんなに空席の多い舞台は近頃記憶にないくらいです。客席全体が沈んだように静かで、開演直前のざわめきとか高揚感といったものが全く感じられず、それが観る側の心理にも、舞台上の役者さんのテンションにも言いようのない影を落としている気がして・・・。

「座頭市」 12月28日(金) 1:30pm 
梅田芸術劇場メインホール 1階3列センター



原作: 子母沢寛   脚本: NAKA雅MURA   演出: 三池崇史
出演: 哀川翔 阿部サダヲ 麻路さき 遠藤憲一 長門裕之 永澤俊矢 ほか


勝新太郎の「座頭市」といえば、全編を貫くのはニヒリズムや無常観といった印象がありますが、この舞台からも主演の哀川翔の演技からも、それは感じられません。でも、これが三池崇史流の解釈の演出で、勝新の世界観とは別の「座頭市」を創り出そうという意図であるならば、それはそれで納得できます。

最後の火事の場面など、手が混んでお金かかっていそうな舞台装置や美しい照明(原田保さんだった!)はなかなか見応えがあり、遠藤憲一演じる“腐れ刀の竜”のエピソードはじめストーリーはそれなりに楽しめました。全体的に押さえ気味ながらクライマックスの殺陣は見せてくれたこれが初舞台の哀川翔、相変わらずのハイテンションで客席の笑いを独り占めといった阿部サダヲ、ニヒルでカッコイイ遠藤憲一、存在感バツグン(ついでに顔もバツグンに大きい)長門裕之、それに負けないくらい顔デカイ永澤俊矢など、配役も豪華。

だけど最後まで乗り切れませんでした。
舞台をつくり上げているものには、脚本や演出や役者さんの演技や、様々なものがあるけれど、“客席”も欠くことのできないものの一つであることを、改めて感じた舞台でした。


プログラムは梅芸ネット会員にはプレゼントされたんだけどなぁの地獄度 ふらふら ふらふら (total 281 わーい(嬉しい顔) vs 285 ふらふら)
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2007年12月26日

KANADEHON忠臣蔵

花組芝居 20周年記念公演第四弾「KANADEHON 忠臣蔵」

花組芝居20周年記念企画の最後を飾る作品で、春に観た『かぶき座の怪人』が再演だったのに対し、こちらは今回初演のオリジナル。2回の大阪公演を観劇しました。

花組芝居 『KANADEHON忠臣蔵』
12月22日(土) 6:00pm シアターBRAVA! 1階H列上手
12月23日(日) 1:00pm シアターBRAVA! 1階E列下手


「假名手本忠臣蔵」全十一段を2時間半でやってしまおうっていうお芝居。いつもの花組芝居に比べてギャグやおふざけは少な目、エロに至ってはほぼ皆無で、力入れて真向勝負で取り組んだ作品という印象。座長・加納幸和の思い入れやこだわりが随所に感じられます。1日目のアフタートークで加納さんがおっしゃっていたのですが、今回の衣装は歌舞伎と同じ“松竹衣装”。微妙な和の色合いの美しさと絹の質感が目を引きました。大道具も歌舞伎をやっている“金井大道具”で、こちらも本格的な設えながら進行の速さに合わせて定式幕をあしらったパネルを効果的に使ったシンプルなつくり。場面場面に舞う蝶のモチーフが独特の雰囲気を醸し出しています。高家討入りの場で高師直を探す時、美しく描かれた襖が次々とスピーディに開いていく見せ方はほんとうに鮮やかで見事。

実は歌舞伎でもまだ『假名手本忠臣蔵』を全段観たことがありません。まともに上演したら10時間以上かかっちゃうという狂言なのですが、あれよあれよとテンポよく進行します。八段目「道行旅路の嫁入り」なんて、戸無瀬と小浪のちょっとしたダンス(?)だけだったりわーい(嬉しい顔) それでもここ一番のツボはしっかり押さえてあって、見どころたっぷり、役者さんの見せどころも満点の演目となっていました。四段目の判官切腹の場面では2日とも涙たらーっ(汗) 判官から切腹に使った刀(九寸五分というのだったかな?)を託され、師直を討つことを決意した大星由良助が踊り狂う家臣たちを背に、じっと前を見据えて刀についた主君の血をなめるシーンはゾクゾクしました。もうひとつのワタシ的ツボは初めて観た十段目。「天河屋義平は男でござるっ」・・・カッコよかった〜。

戸無瀬・加納幸和はさすがの台詞まわしに立居振る舞い。このまま歌舞伎の舞台に立っても全く違和感ないのでは?と思えるほどです。これに対して植本潤のおかるはひたすらキュートムード面差しは時として山村紅葉さんに見えなくもないけれど、勘平さん大好きのいじらしい気持ち、「色にふけったばかりに大事に居合わせなかった」と自らを責めて自害しようとする勘平を必死で説得して思いとどまらせる現実的でしっかり者の一面、遊女になってからの色っぽいしどけなさなど、本当に魅力的なおかるちゃんでした。一本気な若狭助と五十両〜の斧定九郎 二役の北沢洋、品よく儚げな雰囲気がぴったりの塩冶判官・小林大介、かわいいお小姓さんのような大星力弥の大井靖彦、男気あふれる天河屋義平・水下きよし、そしてもちろん、ステキなお声と懐深い男っぷりの大星由良助・桂憲一・・・あげればキリがないくらい、みなさん熱演でした。

位置情報脚本の石川耕士さんの「台本をまとめるにあたってのキーポイントは“恋”。高師直の顔世御前への邪恋、おかる勘平の悲劇、力弥と小浪の恋を成就させてやりたいと願う親たちの悲劇が全編のクライマックスになっている」という発言をプログラムで読んで「ナルホド〜」とやたら納得。

位置情報2日続けて観ると、ギャグの部分が日ネタだったことがわかったり、千穐楽ならではのドッキリもあったりして楽しかったです。楽の天河屋義平・由松親子の場面では、♪刃傷松の廊下 ではなく、1日早いけど、って由松くんが♪ジングルベルを唄っていました。

位置情報1日目は加納さんのアフタートーク、大楽となった2日目は恒例の役者紹介がありました。
加納さんが役者さんを一人ずつ役名と共に紹介してくださるのですが、座員23人で全役を演じているので一人が複数役を兼ねていて、最後に出てきた馬の前足が天河屋義平だったことにわーい(嬉しい顔) 
小浪役の堀越涼(たぶん劇団最年少)。加納さんに「誰をお手本にしたの?」と問われ、「雀右衛門さん。」シブイ。


最後は舞台・客席一緒になって一本締めのごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 280 わーい(嬉しい顔) vs 281 ふらふら)
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2007年12月20日

痛い狂気

desire.jpgルイジアナ州ニューオリンズは、アメリカ南部の面影色濃く残るミシシッピ川沿いの街。ジャズ発祥の地と言われ、黒人文化が根付いているところ。2005年8月には、ハリケーン・カトリーナによる壊滅的な被害を受けたことでも知られました。そんなニューオリンズに実在する路面電車(A Streetcar Named Desire)がタイトルとなった戯曲。

「欲望という名の電車」
12月5日(水) 7:00pm シアター・ドラマシティ 8列上手

脚本: テネシー・ウィリアムズ  演出: 鈴木勝秀
出演: 篠井英介 北村有起哉 小島聖 伊達暁 明星真由美 ほか

ステラとスタンリー夫婦が暮らす町に、ステラの姉のブランチが訪ねてきます。『欲望』という名の電車に乗って、『墓場』という名の電車に乗り換えて…。家屋敷を手放した傷心のブランチを、ステラは温かく迎え入れ、3人の奇妙な同居生活が始まりますが、新しい土地に救いを求めてやってきたはずのブランチは、スタンリーとの軋轢によって過去の傷を暴かれ、やがて狂気へと破滅していきます。


篠井英介のブランチは、ステラの家に到着したその時からすでに狂気への道を踏み出しているという印象。まわりの人たちと明らかに違う空気感が漂います。若い頃の結婚の不幸な結末や、没落していく旧家を一人で支えなければならなかった重圧や、いろんなものと闘い、教師の職まで追われ、疲れ果て、現実を受け入れることができずアルコール依存と狂気へと逃避しているブランチ。高慢かと思えばオドオドした媚を売るような目つきをしたり、百戦錬磨の年増女のようだったり、恋に頬そめる少女のようだったり・・・観ているのも痛々しく、それは時として目をそむけたくなる残酷さでした。まぎれもない“女優”に違いないのですが、もしかすると男性だからこそここまで表現できるのかもしれないとふと感じました。
それにしても篠井英介は立ち姿や仕草がとても美しい。火をつけてもらって煙草を吸う仕草のカッコよさと言ったら。

「現実」を受け入れることができず、虚飾の世界へと逃避しているブランチに対し、社会の底辺にいるという「現実」に不満を抱き反発して、心に抱えた屈折したコンプレックスを暴力という形で爆発させるスタンリーは北村有起哉。
スタンリー=白いランニングに筋骨隆々というイメージが強かったので、登場の際のまるでアッパーミドルのAmerican boyのような赤いTシャツとふわりとした髪型にはいささか違和感あり。これは役者本人ではなく演出の問題でしょうか。粗野で狂暴というより、普段は冷静に物事をじっくり考えているのに、時々キレて手がつけられなくなる男、という印象でした。カーテンコールで見せてくれた照れたような笑顔が一番キュンときたりして。

演出といえばミッチ。
ミッチは中年の冴えない面体の男で、でも心はとても真面目で温か。プライドが高く、かつては美貌で、相手にもそれなりの容姿を求めたであろうブランチが、若い頃なら歯牙にもかけなかったようなミッチのやさしさに触れ、心を動かされ、やがて裏切られることになるところにその哀れが一層際立つという気がするのですが、さわやか好青年風でビジュアルもよし、の伊達暁では、そのあたりの説得力が弱まるのではと危惧しました。もっとも、初演、再演ともにミッチには田中哲司がキャスティングされていたということなので、鈴木勝秀さんの解釈はこうなのでしょう。
(以前に観た蜷川幸雄版のミッチは六平直政/ブランチ 大竹しのぶ  スタンリー 堤真一  ステラ 寺島しのぶ)

「あなたたちみたいな人間がお姉さんを壊したのよ」と激昂し、去り行く姉を見送りながら涙するステラ(小島聖)。スタンリーにベタ惚れだけど、お姉さんのことも大好きなステラ。「また元どおりだ」とスタンリーは言ったけど、たぶんもう以前と同じには戻れない。姉を失い、夫も失ったステラ。心を遠くへ置いてしまったブランチより、むしろこのステラの悲しみが直接心に響いてきます。

明星真由美のユーニスもとてもよかった。包容力があり、いかにも気のいい世話好きの下町のおかみさんという感じ。のびやかな歌声も魅力的で、あんまり印象が違うので「ドラクル」のマリーだとは最初わかりませんでした。

暗転や幕のない場面転換には、走り去る列車の音と、80〜90年代のヴォーカル曲が使われていました。最後の曲は、ジョニ・ミッチェルかな?


開演前からプログラム売り切れの地獄度 ふらふら (total 276 わーい(嬉しい顔) vs 280 ふらふら)
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2007年12月09日

新感線次回作は『五右衛門ロック』with 江口洋介&北大路欣也\(^o^)/

goemon.jpg「カリギュラ」を観に行ったシアターBRAVA!で配られたフライヤーの束を帰りの電車の中でチェックしていて発見目

SHINKANSEN☆RX  GOEMON ROCK
「五右衛門ロック」


ふんふん、RXってことはロックミュージカルだわね。

裏返してキャストを見る・・・


goemon3.jpg古田新太・・・やった、ふるちん主演だぁ
松雪泰子・森山未來・・・ナルホド、松雪さんも未來くんも唄えるからな
おっ!江口洋介!!・・・そういえば、1月に新橋演舞場で「朧の森に棲む鬼」を観た時、江口さん客席で見かけたなぁ。あの時はもうこの企画決まってたのかしら
川平慈英・濱田マリ・・・唄える人が続きますね
橋本じゅん・高田聖子・粟根まこと・・・いいねぇ、新感線オールスターキャストじゃん。しかも、ふるちんとじゅんさんの共演って「吉原御免状」以来?・・・あ、「犬顔」がありましたわーい(嬉しい顔)

・・・次の瞬間、座席からずり落ちそうになる・・・
えっ!北大路欣也?新感線に、北大路欣也exclamation&question

大阪公演は2008年8月。熱い夏になりそうです。


新感線オフィシャルサイトにもアップされていましたのごくらく度 わーい(嬉しい顔) (total 275 わーい(嬉しい顔) vs 274ふらふら)
ニックネーム スキップ at 04:25| Comment(7) | TrackBack(0) | 演劇・ミュージカル